能登半島地震から1年。「もし都心で震災が起きた場合、避難所に入れるのは2割です」と専門家・草野かおるさん。自然災害が多発するようになった昨今、自宅での防災備蓄、最新の常識をアップデートして。
「東京都防災ホームページによると、東京都の非常時の避難所はおよそ3200か所(協定施設を含む)で、収容人数は320万人。都民の数は約1400万人ですから、22%の人しか避難所には入れない計算です。
もちろん全世帯が被災するわけではないでしょうが、それでも“自分の身は自分で守る”準備をしておくことが欠かせないと思います」
こう語るのは、防災士の草野かおるさん。
多くの人は避難所に行かず、そのまま自宅にとどまる“おうち避難”となる可能性が高い。ライフラインが止まった自宅で1週間から10日を目安に過ごせるように準備しておきたいという。その際、重要なのが「停電」「断水」「トイレ」「食料」対策の4つ。
停電対策はスマホ用充電器の確保から
草野さんによれば、「停電」に関して、まず行ってほしい災害対策が、携帯電話の充電器の確保。
「家族との連絡から正しい情報の入手まで、いまではスマホが命綱になっています。2018年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震で起きた停電では、役所が設けた携帯電話の充電サービスに車の長蛇の列ができたほど。
モバイルバッテリーとともに、電池式の充電器も用意しておくといいですね」(草野さん、以下同)
停電による明かりの確保には、「100均で売っているヘッドライトが超おすすめです。これを頭でなく、首から下げて使います。両手が使えて足元を照らしてくれますから、暗がりの中でも安全にトイレに行けます」
実は発災時の知られざる災害が、転倒によるケガや骨折。それがきっかけで寝たきりになってしまった高齢者は決して少なくないという。首から下げた100均ヘッドライトは、そうした事故防止に有効だ。
「停電してしまっても、ロウソクの使用は火事の原因になりかねないのでなるべく避けたい。照明に関しては、コップやマグカップの中に懐中電灯を入れ、その上に水入りペットボトルを置くとペットボトルが光を拡散してランタンの代わりになります。その際はスポーツドリンクなど白濁したものだとより効果的です」