声変わりしたら?出身者のその後は?
ウィーン少年合唱団は、ソプラノとアルトの2パートのみ。そのコーラスは、20世紀最大の指揮者のひとりとも称される巨匠アルトゥーロ・トスカニーニをして「天使の歌声」と言わしめたという。
また、昔からまことしやかに「声変わりをした少年は即退団させられてしまう」というウワサを聞いてきたが、その真相は?
「そういったことはありません。現在、学校は高校まであるので、合唱団を卒業するという形で、そのまま学校に通うなど、次のステップに進むようです」
なお、合唱団の団員だった生徒たちの卒業後の進路は、3分の1は音楽家になるというが、外交官や医師、弁護士などさまざまな職につくという。
「毎日たくさんの努力をして世界中を回るなど、非常に有意義な経験をしているお子さんたちなので、その経験を社会に還元するように活躍をしていると思います」
コロナ以降4年ぶり来日、見どころや意気込みは?
2019年以来、4年ぶりの来日となるウィーン少年合唱団。今回の聴きどころはどこ?
「前述のとおり今年でウィーン少年合唱団は525周年を迎えるのですが、今回モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』を芸術監督のヴィルト氏によるアレンジで歌います。モーツァルトの曲にはケッヘル番号という番号がついているのですが、この曲は525番ということで遊び心のある選曲になっています」
聖歌やクラシックだけではなく、世界各国の楽曲を公演をしながら覚え、それを他国でも披露するのが彼ら“音楽大使”の務め。今回もプログラムには日本はもちろんインドなどの唱歌や映画音楽まで多岐にわたるラインナップだ。
また、変わり種ではTikTokなどのSNSで話題になったネイサン・エヴァンズの『ウェラーマン(船守の労働歌)』も歌われるという。その音楽性の幅広さは、今年もたくさんの人を魅了すること間違いなし。
「合唱団のみんなは、日本に来ることを本当に楽しみにしていて、いろんなところへ行ってみたいと話しています。一生懸命準備していい演奏会を届けたいというのが彼らの思いです」
数名の日本人メンバーを含む、来日中のウィーン少年合唱団「ハイドン組」。天から降ってくるかのような澄んだ歌声を堪能できる久々の機会。ぜひコンサートに足を運んでみては?
東京公演:〜6月18日(全国公演日程は随時、特設サイトにて発表)https://www.japanarts.co.jp/special/wsk/
(取材・文/美女川満子)