自分を大切にすると、人との関わり方がわかるようになる
言葉の力で変わることができたと確信する瓜田は現在、言葉をかけてくれた人たちへの感謝の思いを込めて、人のために生きることを自分に課しているという。
話題の『BreakingDown』へも、そのスタンスで参戦しているのだとか。
「いろんなものを受け止めるのが、今の俺の役割だと思っています。選手の思い、運営側の思い、そして見てくれている人たちの思い。俺があえて不良のシンボルになることで、『瓜田さんなら俺の気持ちをわかってくれる』と、救われる奴らが出てくる。
俺がこの年で身体を鍛えて出場することで『俺もまだまだ頑張れる』と思ってくれる人もいる。単純に、俺が戦っているところを見てスカッとしてくれるのでもいい。
どう思ってもらってもいい。俺が出場することで、多くの人の心を動かすことができているから。まさに『関係ねぇよ』ですね」
とはいえ、瓜田が『BreakingDown』に出場することに対し、受け止めきれない思いを持っているであろう存在も。連れ添ってきた妻の麗子さんだろう。二人のおしどり夫婦ぶりは時折ネットニュースにも取り上げられるほどだ。
「確かに試合でケガをすることに関しては、本当に心配をかけていると思います。
でもうちの奥さんは、俺よりブレないし、強い存在なんです。そのうえ現実に対してシビア。俺は、たまに面倒くさいことに対して『関係ねぇよ』と放り投げたくなるんですが(笑)、麗子は『BreakingDown』の記者会見での俺の服装や振る舞いなど、細かなところまでよく見ていて、口を出してくる。正直、頭が上がらない。
今こうやって、冷静に自分を振り返って話せるのも、麗子のおかげでもあります。
一緒になってからずっと、『純士だから大丈夫やで』『誰が何言ってもかまへん。純士のやりたいようにやりや』『うちらが幸せになることが大切や』と、いつも言葉をかけてきてくれた。不安ばかりだった俺に、自分の強さや、生き様を信じていいという確信をくれた。俺の一番のファンでいてくれて、かつ最高のコーチですね」
麗子さんの言葉からも、瓜田流「関係ねぇよ」の精神が伝わってくる。大切な人からの言葉は、どんな肉体への衝撃よりも遥かに深く、長く影響する。そして、妻へのリスペクトを素直に表す瓜田の姿勢は、感動的なほど清々しい。
今回の日めくりカレンダーの発売を機に、今後ますます言葉を送り続けたいという。
「まず発売記念のトークライブをするんですが、その後も定期的にトークイベントをやっていきたいですね。まさに寂聴さんの法話会のような(笑)。
そしてゆくゆくは、麗子と新宿でカフェ的なものを経営して、ファンと交流したり、悩みを聞く仕事をしたいと考えています。
でも新宿は家賃が高いですから。コーヒー1杯2000円位は取る予定です(笑)。お悩み相談は1回10万円くらいで。そのあたりは麗子に従ってシビアにいくつもりです(笑)」
「好きなことだけやるんだ
一度しかない人生」とか
無責任な言葉を信じて
好きなことだけしていたら
借金を抱えて、しまいには
ホームレスになるぞ
やりたくないことも
少しはやれよ(『関係ねぇよ』より)
受け止めて、笑わせて、少しだけ諭す。アウトローのカリスマの言葉は、どんな道を歩む人の足元でも、優しく照らし続けていく。
日めくりカレンダー『関係ねぇよ』
著者/瓜田純士 写真/尾藤能暢 発売/サイゾー(定価・1300円+税)
瓜田純士(うりた・じゅんし)
1979年、新宿歌舞伎町生まれ。父親は伝説の暴走族ブラックエンペラーの二代目総長。少年時代を不良として新宿や杉並区で過ごし、10代で暴力団の構成員に。獄中で執筆に目覚め、出所後、作家に転身。総合格闘技大会『THE OUTSIDER』旗揚げ戦に参戦後、数々のスキャンダルが話題になる一方、関東連合と対立する友達を描いた『遺書』(太田出版)、『アンサー』(サイゾー)など著書多数。
<取材・文/木原みぎわ>