広末涼子と次男を抱いた夫のキャンドル・ジュン氏(2011年)
広末涼子と次男を抱いた夫のキャンドル・ジュン氏(2011年)
【写真】かつてラブラブだったキャンドル•ジュン氏と妻・広末涼子

 唯一違ったのは、最近の広末に離婚の意志があったことではないでしょうか。会見によると、「週刊文春」に不倫を報じられる前から、キャンドル氏は鳥羽氏との関係をある程度察しており、広末もキャンドル氏に離婚したいと話していたそうです。このような場合、広末にとって「文春」報道は離婚のチャンスになりますから、ある意味追い風となりますが、離婚したくないキャンドル氏にとっては、これまでの忍耐が水の泡になってしまいます。

 ですから、「あそこまでやってやったのに」と愛が憎しみに変わり、芸能人である妻のイメージダウンに響くようなことをバラしてしまったり、不倫の怒りを妻ではなく、不倫相手に向けてしまっても無理からぬことだと思うのです。ハチは一度人を刺すと死んでしまうと言われています。そのため、弱い者が強い者にする決死の覚悟、自滅覚悟の攻撃を「ハチの一刺し」と表現することがあります。愛と憎しみの混在したキャンドル氏が、自爆覚悟でかつて死ぬほど愛した人気女優の妻を刺した会見のように感じられました。

 もう一つ、会見を見て思ったのは、「自分は違う」という男たちの意識なのでした。キャンドル氏が広末と出会った頃について、こう語っています。

二人の出会い方は今回の不倫と似通っている?

「自分が妻と出会った頃、その時の彼女は心が不安定で、その後の結婚してからの良き妻であり、良き母である彼女とは180度違う人物でした。出会ってからは毎晩のように連絡をしてくれたり手紙を送ってくれたり、ありがたいなと思う反面、まだ小さい長男がいることも知っていたので、『長男も一緒に連れてきたらどうだ』って言いました」

 手紙の内容がどんなものかはわかりませんが、子どもを置いて男性にのめりこんでしまうというのは、今回の不倫と似通っていないでしょうか。男性は自分なら広末を支えてあげられる、自分が広末を真人間に変えられると思うのかもしれませんが、こういうのは本人の問題なので、本人が変わろうと思わない限り、他人にはどうすることもできない。変わらない、もしくは変わるつもりはない広末と、自分なら広末を変えられると信じている男たちがくっついて、やがて別れるという同じことを繰り返しているように思えるのです。

 キャンドル氏は広末を「最高の母」と話していましたが、不倫したという事実があるために広末は「母親のくせに」というバッシングからは免れないでしょう。けれど、もし本当に彼女が母親に向いていないのなら、子どもを置いて男のもとに走るのではないでしょうか。

 結局、彼女が向いていないのは、母親ではなく、妻なのだと思うのです。民法は夫婦に貞操権を定めており、配偶者以外との肉体関係を禁止しています。彼女にとってそれを守るのが難しいのなら、結婚しなければいいだけ。広末は結婚しなければよいし、キャンドル氏は無理して、妻の不貞を許す理解ある夫にならなくてもいいのです。今回の件、誰が悪いというより「自分に向かないことは、しないほうがいい」というシンプルな話にも思えてくるのでした。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」