在校生女子が振り返る。
「金太郎さんは新人王になったことなどを話し、“じゃあ質問ある人”と挙手をうながしました。シャドーボクシングを見たいと言った男子を壇上に呼び、目の前に立つと当たらない程度にパンチを繰り出しました。でも有名人じゃないから、生徒はほとんどシーンとしていました」
別の男子生徒のリクエストで腕相撲をすると、ギリギリで勝ち、
「この人めっちゃ強い!」
と挑戦した生徒をたたえた。
おおむね話はスベったようだが、SNSのIDを尋ねられ「言うから覚えてよ!」と返したときは笑いを取った。
「中学時代から目立ちたがり屋だったと話し、“みんなの視線を浴びている今、めっちゃ幸せ”って。“僕もチャンピオンを目指して頑張るので、みんなも夢に向かって頑張ってください”との言葉は私には刺さったのに、逮捕後の黙秘はずるいと思います。あんなに堂々と話していたのだから、やっていないならばやってないと言うべきだし、やったならば認めて罪を償わないと」(別の女子生徒)
在校生らは逮捕のニュースに「あの先輩やっちゃったね」とがっかりしたという。
今年5月の試合で、対戦相手の右ストレートに苦しめられてまぶたの上部を切りTKO負け。その約1か月後に犯行に及んだ。
所属ジムの会長は、
「試合に負ければショックなのはみな同じ。逮捕当日も朝練を頑張るなど変わった様子はありませんでした。前夜のスパーリングも動きがよく、“いい感じだぞ”と声をかけたほどです。会社員の仕事で十分な給料を貰っていたし、ファイトマネーも渡していました。犯行動機は見当もつきません」と力なく話す。
チャンピオン狙える有望ボクサーだったのに…
会長の指導によって、別人のように成長したという。
「何を教えても覚えるのが早かった。スタミナがつき、ボクシングを勉強して頭を使うようになり、相当努力してきました。周囲からは“(チャンピオンベルトを)巻けるよ”と言われていたんです。被害に遭われた方は私の母親と同世代です。容疑が事実ならば残念だし許せない。ジムのスタッフや一緒に練習する選手たち、選手に憧れて練習する子どもたちのことを考えるとやるせない気持ちになりますが、ジムとしては信頼回復に向けて頑張ることしかできません」(同・会長)
母校の後輩に語ったように夢を追いかける状況ではなくなった。いくら“目立ちたがりや”でも、こんな悪目立ちは本望ではあるまい。