話題になったIMALUの楽曲
なお、ふたりは芸人と女優という夫婦のハシリでもあり、多くの後輩たちがこれに続いた。
惜しむらくはIMALUが芝居やお笑いの才能をあまり受け継いでいないことだろうか。しかし、彼女は意外と歌がうまい。『紅白』歌手の母よりも上だと思えるほどだ。
ヒット曲はないものの、セカンドシングルの『そんな名前 欲しくないよ』はちょっと話題になった。作詞も本人で、さんまの座右の銘でもある「生きてるだけでまるもうけ」に由来するともいう自らの名前のことをネタにしているのかと思いきや─。「別れ」という言葉(名前)なんて欲しくないという、やや無理のある内容だった。
一方、さんまは離婚するにあたり「別れ」を別の言葉に書き換えた。額にバツ印を書いて、会見に登場。のちにこんな自慢もしている。
「バツイチっていう言葉はもともとあったんですけども、流行らせたのはボク」
いや、言葉だけでなく、このカップルは離婚のイメージも大きく変えたのではないか。お互いのよりよい生き方のために、別れを選び、適度の距離感を保ちつつ、子どもも含めて「家族」がそれぞれ幸せでいられるようにやっていくという離婚のかたち。簡単なことではないが、ふたりが新たな離婚スタイルをつくり、世の中に影響を与えたことは間違いない。ところで、大竹は数年前の時点ですら、結婚や恋愛について、
「決めてはいません。何が起こるかわからないのが人生だから」
と語っている。
いわば、いつどこに転機があるかわからないという人生観。こういう人こそが、世の中に転機をもたらすのだろう。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。