4.イライラの後に、いいオチをつけることを忘れない。

 あのちゃんは「『あのちゃんの電電電波』で、南海キャンディーズ・山里亮太について「山里亮太はデフォで嫌い。というか、5~6年くらい一緒に番組やってて、その時からめっちゃ怖くて」「ボクがVTR中に寝たりするとめっちゃ怒る」「他の番組で会った時も、ボクがミスったことをみんながいるのに“あのちゃん、あれダメだったよ”って言ってきて。ホント嫌い」というふうに、先輩を呼び捨てした挙げ句の逆ギレ(仕事中の居眠りは怒られても仕方ありません)など、シンプルで上質なイライラを提供してくれます。しかし、その後に、山里があのちゃんの楽曲『ちゅ、多様性』のMVに出演してくれたことを明かし、「超一瞬で顔も出ないのに、出てくれたんだよ。コイツも人間の心があるんだって思えた」とイイ話をプラスしています。こうなると、話題に出された山里サンのイメージも上がりますし、あのちゃん自身も「言葉遣いはアレだけど、先輩に感謝できるいい子」に見えてくるのです。

 あのちゃんは、いろいろな番組で自分を「暗い」とか「生きづらい」と自己分析していますが、私には「傷つきやすい人」に見えます。心理学では、傷つくことを恐れる人ほど、自分を守るために、周囲に攻撃的になりがちと言われています。あのちゃんの発言は総じて「ちょっと言い過ぎ」だと思いますが、それは傷つきやすいために「やられる前にやる」発想に陥っているからではないでしょうか。芸能人として売れることは喜ばしいことですが、売れている今だからこそ、ストレスマネジメントが必要かもしれません。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」