小遣い稼ぎなら1日バイト募集も
農業への関心の高まりから、日雇いの農作業アルバイトが探せるサイトやアプリが登場している。農林水産業みらい基金を活用して開発してきた「1日バイトアプリ デイワーク」では、1日単位での案件を紹介。
フルタイムは厳しい主婦や、体力的に毎日は厳しいという高齢者、会社員が副業として利用するケースが増えているそう。
「求人情報に“初心者大歓迎”などの文言があれば、誰でも応募は可能です。
イチゴ農家でのアルバイトを例にあげると、パック詰め作業は力加減を間違えるとイチゴがつぶれるので経験者にしか任せられませんが、出荷に使う箱を折る作業なら初心者の方にもお願いできる。このように作物ごとに複数の工程があったりします」
今の時季なら、さつまいもの選別や出荷、柿ののれん吊るし作業など、旬の野菜や果物を扱う案件も多い。空いた日に、季節を感じながら自然の中で身体を動かすのは健康にもよさそう。
ちなみに、「1日バイトアプリ デイワーク」の利用者は、単に副収入を得たいだけではない人も多いという。
「日本の農業は人手不足が深刻な課題のひとつ。社会貢献をしたいという気持ちから利用される人もいます。さらに、アンケートでアルバイトの動機を聞いたところ、『野菜の作り方を知りたかった』『農業の現場を見たかった』といった声が多く聞かれました。
つまり、本格的に農業を仕事にすることも視野に入れ、アルバイトという形で農業体験をする人も増えています」
アルバイトは農業のリアルを知れる貴重な機会。
「テレビなどのメディアでは成功事例や見栄えのいいシーンのみ紹介されますから、それだけではない現実を見ておくことは非常に重要です。栽培方法や考え方は農家によって違うので、その点でも勉強になるはず」
アルバイトなどでの農業体験を経て、本格的な副業や定年後の生活の柱として考える人も急増しているそう。その場合、次のステップはさらに“学ぶ”こと。
「全国41道府県には就農したい人が技術や経営を2年程度で学べる農業大学校が設置されています。社会人に向けた就農支援研修も多くあります。週末に受けられる研修や、初心者向けのものも開設されています」
農業大学校に年齢制限はない。さらに、民間にも中高年が農業を週末に学ベる学校がどんどん開校。
「農作業そのものに関する知識だけでなく、その地域ならではの事情や助成制度についても知っておくといい。行政や専門機関の相談員も非常に頼りになりますから、ぜひつながっておきましょう。
農業では周囲の人とコミュニティーを築くことがとにかく大事。例えば、害虫の発生やケガなど何らかのトラブルがあったとき、相談できる先があると心強いですよ」
収穫の秋には各地でさまざまな農体験が予定されている。人生後半、新しいチャレンジや出会いのきっかけとして足を運んではどうだろう。
(取材・文/中西美紀)