A子さんの職場の営業時間は昼12時から夜12時までで、多い日は1日に8件の“仕事”をこなすこともあったという。
日本人が多すぎて希少価値は下がっている
「業務時間外にお店の外に出ることは許されず、9日間“カンヅメ”でした。食事は、スタッフにウーバーイーツを頼んでもらったり、ママが作ってくれたり。ロスでは、毎晩仕事が終わった後にママお手製の火鍋を囲むのが“しきたり”でしたね。
ただ、その席になぜかお客さんもいて、深夜2時ごろに“今から行ける?”と仕事を依頼されることも。断れる雰囲気ではなく、そのまま部屋に流れたこともありました」
異国での売春行為は、危険と隣り合わせだといわれている。
「フィリピンのような銃社会の国は気をつけるようにいわれています。ロスでは、薬物をやっているのか正気ではなく、何を話しているのかわからない状態のお客さんもいました。出稼ぎなので、仕事があるに越したことはないのですが、さすがに疲労も溜まります。
後半は “もう(客に)選ばれたくない”というジレンマもありましたね。私と同じタイミングで滞在していた別の日本人女性は、ホストクラブへの売掛金を返済するために出稼ぎに来ていたんですが、その子、仕事が入るたびに毎回泣くんですよ。“もうやだ”って……」
海外売春へ至るまでの経緯は人それぞれだが、いずれにしても契約期間を終えた女性たちは帰国することになる。ただ、ここでもリスクを冒す必要があるといい、
「報酬を送金する場合、多額の手数料が取られるんです。それが嫌な場合、キャリーケースに“現ナマ”を詰めて帰ることになるのですが、過去に大量の現金が見つかって全部没収された人もいると聞いて……。私は、ブラジャーや下着の中にお札を隠して、何とかバレずに帰国することができました」
そこまでしてでも、短期間で“まとまったお金”を手にしたいとの思いから海外へ足を運ぶ日本人女性は増える一方だといい、
「今、台北だけで20人以上の日本人女性が出稼ぎに行っていると聞きました。最近は、日本人が多すぎて、希少価値も下がっているとか。
1日お茶を引いて(注:客が来なくて暇なこと)稼げないことも、ざらにあるようです。飼い犬4匹をペットホテルに預けて台湾へ出稼ぎに行った知人は、現地での宿泊費を請求された結果“赤字になった”と嘆いていました」
それでもA子さんは、海外出稼ぎを続けたいと話す。
「私は既婚者ですが、夫にも出稼ぎのことは伝えていて、理解してもらえているんです。11月に行く韓国は、観光もできるみたいで楽しみ。12月にはアメリカへ行くかもしれません」
後を絶たない海外での売春行為。“甘い話”は危険と紙一重であるということを忘れてはならない――。