「一昨年くらいから、40代以上の女性が主人公を演じるドラマが増えてきたように思います。今クールは特に多い印象ですね」
と、ドラマに精通するライターの田幸和歌子さん。大人ヒロインの作品が豊作な秋ドラマの中から、ヒロインと年齢の近い方が多い読者のみなさんに激推しの作品をご紹介します!!
“ダメ男”が登場するドラマ
まずは、小池栄子が主人公の万里江を演じるドラマ『コタツがない家』。熟年離婚されたうえに投資詐欺にあった父、屈折ニートの夫、反抗的な息子を支える一家の大黒柱で、ウェディングプランナーの万里江を好演している。
「小池さん、意外なことに今作が民放ゴールデン・プライム帯の連続ドラマ初主演なんです。脚本の金子茂樹さんはダメ男を書くのがすごく上手な方。ドラマ『俺の話は長い』などで描いてきた主人公のダメ男を支える懐の深い、しっかり者の女性という、視聴者が共感をおぼえる脇役をヒロインにしたのが『コタツがない家』です。父、夫、息子の3人のダメ男に振り回されながらも、彼らのちょっとした言動に感動して涙するピュアな万里江を見るとほっこりする。なかには“私の状況ほうがまだマシ”と思いながらドラマをご覧になっている方もいるかもしれません(笑)」(田幸さん)
“ダメ男”が登場するドラマといえば、菅野美穂が自宅で刺繍教室を開く平凡な主婦・ゆりあを演じる木曜ドラマ『ゆりあ先生の赤い糸』。ホテルで倒れ、昏睡状態になった夫に彼氏と彼女、そして隠し子がいることが発覚。意識が戻らない夫を愛人たちと自宅で介護することになる。
「とても正気ではいられないような、ありえないシチュエーションの中、情が深く、誰も見捨てない、たくましさのあるゆりあというキャラクターを菅野さんは見事に消化されている。ハマり役だと思います。ゆりあに共感して腹立たしく思いながらも、彼女がブチ切れる姿なんかを見ると、つい笑ってしまうときもあって。元気をもらえるんですよね。年齢を重ねた女性が向き合うことになる“介護”問題について、ひとりで抱え込まず、周囲を巻き込んでいこうという新しいメッセージを発信している点も好感度が高いと思います」(田幸さん)