「恋愛禁止は人権侵害」という議論も

 推しのアイドルの恋愛・結婚報道を素直に祝福できるファンもいれば、つらく苦しい複雑な気持ちを抱くファンもいることだろうが、今回の一連の報道で感じたのは、旧ジャニーズ事務所と新事務所STARTO ENTERTAINMENTの対応の違い。

 新事務所が堂本と中丸の結婚を許したこともそうだが、ほかの恋愛報道を完全否定しなかったことは、大きな変化に感じる。特に熱愛報道は、これまで有無を言わさず完全否定するか黙殺することが多かったからだ。

 好意的に解釈すれば、旧ジャニーズ時代はファンファーストで、タレントに恋愛の“匂い”ができるだけ付かないような対応をしていたのだろう。逆に新事務所の対応はタレントファーストで、タレント個人の意思を尊重しているようになっていると考えられる。

 だが、もしかすると新事務所は堂本と中丸の結婚を“許すしかなかった”し、ほかの恋愛報道を“否定することができなかった”のではないだろうか。

 そう推察する理由はいくつかあるが、まず新事務所は人権について非常にデリケートになっている可能性が高い。

 ジャニーズ帝国が崩壊したのは、言わずもがな故・ジャニー喜多川氏の少年たちへの性加害事件が原因だが、これは非常に卑劣な人権侵害でもあった。

自宅の水槽に映ったジャニー喜多川氏の姿(田中斗希提供)
自宅の水槽に映ったジャニー喜多川氏の姿(田中斗希提供)
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 一方、旧ジャニーズ事務所に限った話ではないが、以前から芸能事務所がタレントの恋愛を禁止することは人権侵害になるのではないかという議論は、たびたび巻き起こっていた。

 性加害事件で人権侵害を行ってきた企業だと糾弾されたため、新事務所はかなりセンシティブになっており、恋愛報道でも人権問題を想起させられるような対応はできなくなっているのではないか。