過去の作品で描かれていたこと
「芦原さんの訃報を受けて日本テレビからのコメントが発表されましたが、具体的な経緯の説明などはありませんでした。そのため、脚本家だけでなく、テレビ局やドラマ関係者への批判も相次いでいます」(前出・スポーツ紙記者)
芦原さんは、『セクシー田中さん』のほかにも、『Piece』や『Bread & Butter』などの人気マンガ作品の作者として知られている。単行本の発行部数が累計700万部を超えた大ヒット作『砂時計』は実写ドラマ化、2008年には夏帆と松下奈緒が同一人物の主演として映画化もされた。
「『砂時計』は2003年から連載が始まった作品です。完結して20年近くがたっていますが、作中に登場する『仁摩サンドミュージアム』には、今でもファンが足を運んでいるそうです」(マンガ編集者、以下同)
12歳の主人公の両親が離婚して、母親の実家である島根県で暮らすようになり、物語が始まる。
「島根に越してから少しして、主人公の母親が自ら命を絶ってしまうのです。それから、大切な人を失った主人公の心情が、繊細に描かれています。芦原さんも自ら命を絶ったと報じられていたので、どうしても思い出してしまって……」
主人公の恋の物語だが、母親の死は人生に大きく影を落としてしまう。
「亡くなる前にかけた言葉に責任を感じてしまうこと、周囲からは昔のことに見えても家族はずっと時が止まったように感じてしまうことや、他の出来事に亡くなった母を重ねてしまうこと……。残された家族の心の機微を丁寧に描くことができる芦原さんが、こんな結末を迎えてしまうなんて、残念でなりません」
芦原さんの“砂時計”は、もう流れることはない──。