テレビドラマを見ていると、「この展開、前にも見たことがある」と気づくことがある。それが“ドラマあるある”。例えば恋愛ドラマにおいて、『運命の相手とは、幼いころすでに出会っていた』という設定は、おなじみのパターン。今期の大河ドラマ『光る君へ』でも、やがて運命の人になるだろうと予想される紫式部と藤原道長が、幼少期に出会っていたというあるあるが、しっかりと盛り込まれていた。
毎度おなじみ「ドラマあるある」
「ドラマを見ていて『またこれか!』という展開は、正直、山ほどあります」と言うのは、漫画家であり、毎クールほぼすべてのドラマをチェックする“ウォッチャー”でもある、かなつ久美さん。まっさきに思い浮かんだのが『部屋の水漏れ』だという。
「主人公の部屋が突然水漏れして、帰れなくなるという展開は、大昔から続く伝統的な“あるある”です。水漏れのほか、何かが故障する、ボヤ騒ぎが起きる、泥棒に入られるなど、いくつかのパターンがあります」(かなつさん)
しかし、どのパターンを通っても、その後に続く展開は「ほぼ同じ」だとか。
「帰る場所をなくした登場人物に、気になる相手が『今日ウチに泊まる?』と言うまでがセット。昔の少女漫画でよく使われていた手法が、今の恋愛ドラマでも飽きずに使われています。今クールのドラマにもあって辟易しました」(かなつさん)
美しいヒロインが病気で寝込むのも、恋愛ドラマでよく見る展開。かなつさんはそのときのヒロインの顔に注目。
「具合が悪いのに、唇がグロスの塗りすぎでツヤツヤな場面をよく見かけます。事務所的に俳優のビジュアルを崩したくないという事情があるのでしょうけど、とても病人には見えません」(かなつさん)
また、美人俳優がモテない役を演じるのも「いいかげん、見飽きました」とのこと。
「美しい人があえてモテない役を演じるのが面白いという手法なのでしょうけど、不自然すぎて入り込めません。『この顔でモテないのはおかしい』が、先にきてしまいます」(かなつさん)
そんな恋愛ドラマの主人公たちには、必ずといっていいほど『思い出の場所』が存在する。
「海が見える高台とか、幼なじみと遊んだ公園とか、なぜか『思い出の場所』が必ずあるんですよね。ヒロインは悩むと、だいたいそこへ行きます。どんなにわかりにくい場所でも、ちゃんとイケメンが見つけに来てくれます。そんな都合のいいことあるかなと思ってしまいます」(かなつさん)
都合がいい“あるある”といえば、“立ち聞き”もそのひとつ。近くを歩いていたら、たまたま部屋の中で重要な話をしているのが聞こえてしまった……という、あるあるシーンについて、かなつさんは以前から疑問を抱いているという。
「立ち聞きなのに、話の内容が鮮明に聞こえすぎ。数メートル以上離れていて、さらには周りの喧騒もある中で、重要な会話がすんなり聞き取れるなんて、すごい地獄耳ですよね」(かなつさん)
立ち聞きによって重要な事実を知った人物は、ひとり秘密を抱えて思い悩む。そのあとの展開にもあるあるが。
「誰かに打ち明けようとした結果、『ううん、やっぱり何でもない』と明るくごまかす。あるいは、話そうとしたら、何かしらの邪魔が入る。だいたいこの2パターンです」(かなつさん)