しかし、コロナ禍になった最初の頃、仕事や舞台が次々と中止になり精神的に不安定になった。
コロナ禍でうつっぽい状態に
「結構落ち込んで、うつっぽくなってしまって。心配してくれる周囲の言葉もまったく耳に入ってこなかった。でも、ある人に“勝手に心配してるんだけど、大丈夫なの?”と言われた時、一歩踏み出せたというか、みんなに支えられているんだなって実感できて。このままじゃだめだと思えたんです」
“ここまで落ちたんだからあとは上がるだけ。もう考えるのをやめよう”というスイッチが入ったのだと語る。そして弱い自分も、失敗も受け入れられるようになった今が、いちばん“みっちょん”を楽しめていると芳本さん。
「年齢を重ねるといろいろ経験するから、楽しいことって減っていくじゃないですか。『そんなことやる年齢でもないし~』とおっくうになってくる。だけど、自分がやっていることをやめないでいると、不思議と新しいことが始まるんですよ。ステップアップとか成長し続けるとかハードル高いことは無理にしなくていいし、頑張って走り続けなくていいと思っているので、何歳になっても楽しいことをやり続けたいです」
取材・文/水口陽子
1969年生まれ、山口県出身。16歳のときに『白いバスケット・シューズ』でアイドル歌手デビュー。21歳で初舞台を踏んだミュージカル『阿国』でゴールデン・アロー賞演劇新人賞を受賞し、以来役者としてテレビや舞台で活躍。舞台演出なども手がけ、2023年春より大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科舞台芸術コース教授に就任。YouTube「みっちょんINポッシブル」も好評。