「なんかいいこと言ってそう」な才能

 そんな彼のすべての能力が表れた“最高傑作”と、ネットでいわれている“作品”がある。詐称発覚前の'16年に出演していた『三菱アウトランダーPHEV』という車のCM。間を取りながら落ち着いた口調で、車の魅力に照らし合わせて自分の仕事やライフスタイルを一人語りする、その内容は以下のような感じだ―。

《その企業はもっと成長できるのかっていうことを考える時間というのは、意外とオフィスでなかったりすることが多い。そういう時にやっぱりPHEVみたいなものがあれば、いつでもどこでもオフィスですよね》

 コロナなど誰も知らなかった時代に『テレワーク』を早くも実践していたショーンK。

《海のそばに来て自分のラップトップ(PC)を広げて、シンガポールやアメリカとビデオカンファレンス》

『リモート会議』も8年前から当然のごとく。と、思いきやPCを閉じ、おもむろに電気グリルパンや小型冷蔵庫を持ち出し、テーブルを広げて友人と屋外でパーティー。いち早く『ワーケーション』を行っていた。数々の詐称を考えれば、海外とのビデオ会議などをしていたかは怪しいが、それを“日常”として演じきる。このCMについて前出の広告代理店社員は、

「おおまかな脚本は広告のクリエイターが考えたと思いますが、この文面や口調、雰囲気はショーンK氏にしかできない。というよりも、この“仕事について何かを伝えているようで何も伝えてない”感じ、なのに“なんかいいこと言ってそう”な感じのしゃべりは、彼の才能だと思うので、セリフや演出はショーンK氏が噛んでいるはず」

 この才能、埋もれさせるにはあまりに惜しい?