そのポイントは、2006年のUターン移住だろう。長女の小学校入学を機に地元・秋田に戻り、そこで8割方、生活するようになった。

 町内会の副会長をやったり、学校行事にも積極参加。先日は「室井」の姿で秋田刑務所の前に立った写真に、

《今日の現場。。。『しったげ、さびがったー』》

 と、方言でコメントをつけ、新作映画のPRをしていた。

田舎のオヤジっぽさを売りにできる芸能人

 洗練された都会っぽさを志向する人が多い芸能界で、こうした生き方は異彩を放つ。また、田舎暮らしに憧れる人はいても、現実はなかなか厳しい。それだけに、地元に根を張った彼の生き方は羨望や郷愁をもたらし、役者としても新たな味になっているのではないか。

 よく考えてみたら、田舎のオヤジっぽさを売りにできる芸能人はいまや希少価値。彼は吉幾三の後継者的ポジションともいえる。和田アキ子にすら心配されるほどのやんちゃな酒癖も『ブギウギ』の芝居ではよい感じに生かされていた。

 芸能界では藤あや子や佐々木希らと『秋田県人会』を立ち上げ、故郷の魅力をアピール。3人で出演した『ボクらの時代』(フジテレビ系)では、まだスキャンダル前だった佐々木の夫・渡部建(アンジャッシュ)について「いいやつ」だと褒めていた。もはや、洗練された都会っぽい路線など不可能な渡部も、妻ゆかりの秋田で出直せばなんとかなるかもしれない。

 筆者の地元・岩手でも「エロ詩吟」の一発屋・天津木村(出身は兵庫)が移住してきてメイン番組を持ったり、CMに出たりしている。田舎は都会からの流れ者に、わりと優しいのだ。

 なお、柳葉の妻は当初、秋田移住に乗り気ではなかったらしい。それも彼の仕事が順調なことで、結果オーライとなりそうだ。

宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。