こうしたデコピングッズは、法的に問題ないのか。弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士に聞いた。

動物は“物”、物には肖像権が認められない

「今回、日本に限っての法的見解で解説しますが、このケースで懸念される権利は、2点考えられます。1つめは、自己の容姿をみだりに他人に撮影されたり、公表・利用されたりしない権利である肖像権。2つめは、その人の著名性やイメージなどにより顧客を集める顧客吸引力を排他的に利用する権利であるパブリシティー権が問題となりえます」

デコピン人気を受け、トレーナーやトートバッグなどを販売しているサイトもあるが、許可を得て販売しているかは定かではない(ホームページより)
デコピン人気を受け、トレーナーやトートバッグなどを販売しているサイトもあるが、許可を得て販売しているかは定かではない(ホームページより)
【写真】デコピン犬トレーナー6100円、これって公式じゃないよね!?

 しかし、デコピン自体はその権利を持たない。

「動物は法律上“物”として扱われます。物には肖像権・パブリシティー権が認められません。そのため、デコピン自体の権利はありませんから、デコピンとの関係では法的に問題ないと考えられます」(正木弁護士、以下同)

 デコピンの飼い主である大谷選手に権利があるとも考えられそうだが……。

「デコピン自体の容姿を非公式に利用するということは、その所有者である大谷選手の所有権侵害が問題となり得ます。しかし、所有権はデコピン自体を使用・収益・処分する権利。そのイラストなどを利用する行為は、所有権侵害とはなりません。

 一方で、大谷選手自身の顧客吸引力を利用しているとも考えられ、パブリシティー権が問題となり得ます。が、大谷選手自体がそれを管理しているわけではありません

 選手の肖像権とパブリシティー権を管理しているのは『MLB選手会』だという。

MLB選手会は、その2つの権利を排他的に利用する権利を有しています。裏を返せば、MLB選手会とライセンス契約を締結せず、デコピンの所有者である大谷選手の顧客吸引力を利用する行為は、MLB選手会の権利を侵害する可能性があり、法的責任を問われる可能性があります」

 メジャーリーグで活躍を続ける大谷にあやかりたくても、ルール違反にはならないように。


◆弁護士プロフィール
正木絢生 弁護士
弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや借金・離婚・労働問題・相続・交通事故など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、配信中。


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