“ご当地サーモン”のメリット
放流された魚は時間とともに減少し、自然環境の中で増える心配はないという。ただ、
「自然環境の中で飼育したことがありませんので、どんなものを餌にするのか、川にとどまるのか、それとも海まで下りるのか。そういったデータがありませんので、これから先どうなるかは、まったくわかりません」
この『ニジサクラ』が誕生したのは、'17年。ニジマスとサクラマスを交配させたものだという。
「成長が早く飼育しやすいニジマスと、味がおいしいサクラマスをかけ合わせる、というコンセプトです」
味としてはニジマスより臭みがなく、脂のりと食感がよくうまみがあるのだという。
ご当地サーモンが、各地で作られている理由を聞いてみると、「私見ですが」と前置きしつつ、
「旅館や地域の飲食店で、お客さんに“これはどこの魚?”と聞かれたとき、この土地でしか食べられない魚ですよ、地産のものですよと言えますよね。そういったことがメリットのひとつだと思います」
確かに輸入物を提供するより、地産地消の料理のほうが喜ばれることは当たり前。しかし、その取り扱いを間違えればその地域の環境を壊してしまう可能性も孕んでいる。今回の幼魚の無断放流は、過熱しているご当地サーモンの開発に一石を投じるニュースになるのかも。