今後を考え定年前にマンションを購入
キャリアを重ね、デスクになり、やがて後輩たちの管理を任されるようになる。入社以来フジテレビ一筋で歩んできた。
フリーになった仲間も多いが「フリーになろうと考えたことはありません。フジテレビが大好きなんです。こんな私をずっと置いてくれて」とフジテレビ愛を口にする。
定年後もそのままフジテレビに残る、それは彼女にとって当然の選択だったよう。
「定年を迎えるにあたり、マンションを買いました。57歳のときです。60歳を過ぎると独身女性が部屋を借りるのは途端に難しくなるんですよね。住宅ローンを組むと定収入が必要になりますから、定年後もフジテレビで仕事をしようというのはその段階で、もう自分の中では決めていました」
現在は月曜〜金曜の週5日、お台場・フジテレビ本社の報道局に勤務する。
「現在の仕事は大きく2つあって、1つは言葉のお仕事。例えば“こだわる”って昔は“そんなことにこだわって”という悪い意味だったけれど、今は“こだわりのパン屋さん”とポジティブな意味もある。
日本語って時代とともに変わっていくので、それを言葉のプロとしていつから認めるか話し合います。もう1つは若手の研修。リポートの仕方、マイクの持ち方、カメラとの向き合い方など、元アナウンサーの立場から教えています」
還暦を迎えた今、第二の人生をどう生きていくのだろう。これからの望みはと聞くと、「無理をしないで生きていきたい」との答えが返ってきた。その真意をこう語る。
「報道の仕事は、本当は見たくないもの、つらいこと、醜いことを見据える作業が必要になる。でももう現場は離れていますし、仕事以外の場面でも、無理につらいことへ目を向けなくてもいいのかも、と。自分を傷つける物事とは距離を置いて、自分が幸せと思える場所で生きていけたらなって思います」