ペルー公式訪問、秋篠宮さまの評価

ギリシャ国立ろう者施設では、現地の手話などで交流を(5月29日)写真/共同通信社
ギリシャ国立ろう者施設では、現地の手話などで交流を(5月29日)写真/共同通信社
【写真】学生時代の佳子さま、割れた腹筋が見える衣装でダンスを踊ることも

 また2023年11月27日、誕生日を前にした会見で、記者から佳子さまのペルー公式訪問の感想などについて質問された秋篠宮さまは、

「ペルーもそうですし、それから、手話を使った公的な行事ということもお話にありましたけども、日本国内での公的な仕事、そういうものも併せて非常に一所懸命取り組んでいると私は思っています」

 と、答えた。

 今回のギリシャ公式訪問も事前に専門家たちからギリシャの文化、歴史やギリシャ語などを学び、関係する本や資料などをたくさん読み込み、準備を万端に整えて佳子さまは本番に臨んだ。その上で、佳子さまの優しさや思いやり、それに最高の笑顔がギリシャの多くの国民を魅了した。私は外国公式訪問3度目の経験が、これまで以上に自信と余裕を彼女に与え、それも今回の成功の大きな要因だったと考える。

 北風と太陽が、旅人の着ているものをどちらが先に脱がすことができるのか競争した。北風はビュービューと激しく吹きつけたが、旅人は「寒い、寒い」と余計に服をしっかりと押さえて離さない。次に太陽は、ポカポカと優しく照らした。さらに強い日差しを送ると、旅人はたまらず着ているものを1枚ずつ脱ぎ始め、川に水を浴びに行った。

 これは『イソップ物語』の『北風と太陽』の大まかなストーリーだ。現在の世界では北風のように力や武力にまかせて人々を屈服させる動きが目立つ。しかし、相手を感動させ、人の心を動かすためには力ずくではなく、思いやり、優しさ、そして愛情こそが大切なのだと再認識した。

 国際親善の場で活躍する佳子さまから、私は多くのことを教えられた。

<文/江森敬治>

えもり・けいじ 1956年生まれ。1980年、毎日新聞社に入社。社会部宮内庁担当記者、編集委員などを経て退社後、現在はジャーナリスト。著書に『秋篠宮』(小学館)、『美智子さまの気品』(主婦と生活社)など