批判の種となっている夏の恒例行事

 さらに、夏の恒例行事も批判の種となっている。

「上皇ご夫妻と天皇ご一家は、毎年夏に栃木県・那須町で静養されます。その順番を巡っても、批判の声が上がりました。お代替わり直後の'19年に、上皇ご夫妻が天皇ご一家よりも約1か月先に那須に滞在されたことが発端です。その後、コロナ禍が明けた'23年、上皇ご夫妻は4年ぶりに那須をご訪問。その際も、ご一家よりも先のご訪問だったため“遠慮がない”とさらなる批判を招いたのです。2度のバッシングを教訓とされているかと思いきや、今年の那須ご静養も、上皇ご夫妻のほうが先に行かれるようです」(前出・皇室ジャーナリスト)

 前出の河西准教授は、上皇ご夫妻と両陛下の“序列”を巡る批判が嫁姑関係に影響をもたらすと警鐘を鳴らす。

「何かあるたびに批判されては、雅子さまもご静養のタイミングなどについて、気を使われてしまうでしょう。ですが、両陛下には欠かせない公務がありますから、ご静養の日程が限られます。上皇ご夫妻の場合、それらを避けて調整しておられるでしょう」

 元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司さんは、上皇ご夫妻との向き合い方にはトライアンドエラーが必要と語る。

「現在の皇室に関する制度のほとんどは明治以降に整備されたもので、退位特例法までは上皇についての規定がありませんでした。天皇と上皇の二重権威を危惧する声もありますが、法的な問題はなく、国民の心の問題といえます。上皇に関する前例はありませんので、天皇陛下が前例をつくっていかれるでしょう」

 慣例が未構築の今、奔放な美智子さま雅子さまは翻弄され続けてしまうのか─。

河西秀哉 名古屋大学大学院人文学研究科准教授。象徴天皇制を専門とし、『近代天皇制から象徴天皇制へ―「象徴」への道程』など著書多数
山下晋司 皇室解説者。23年間の宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行っている