遅れている理由を端的にいえば脚本家の執筆が遅いせい。なぜ遅いのか、テレビ誌ライターが教えてくれた。
「今回の朝ドラは、テーマが非常に多岐にわたっています。しかも女性蔑視、同性愛、戦争責任、朝鮮人差別など、難しいものばかり。そういった困難なテーマとエンタメが見事に両立している稀有な作品だといえると思います」
脚本家は「仕事は思うように進まない」
脚本家は吉田恵里香さん。朝ドラの脚本担当としては、若手の36歳だ。実際、猛勉強しながら台本を書いているそうで、《仕事は思うように進まないですね》とインタビューで答えている。
《主張とエンタメの両方を全力でやっていると、ラクになりたいと思うときも正直あります。でもやっぱり諦めたくないんです》(NHK出版『ドラマ・ガイド』より)
期待の脚本家が懸命に頑張っているのだから、多少の遅れは許されているのだろう。ただ、クランクアップに間に合わないのは、やはりまずい。NHKにこの件を問い合わせると「制作過程の詳細についてはお答えしておりません」との回答。
ノベライズ本を出版するNHK出版に発売日の再延期の可能性を聞くと「9月9日を予定しています」とのこと。
2022年の朝ドラ『舞いあがれ!』では脚本家の負担を減らすために、制作途中で脚本家を2人追加するという緊急のテコ入れをしたが、『虎に翼』の放送は残り4分の1を切っている。現在の脚本家が1人で頑張るしかないのだ。主演の伊藤沙莉もきっと、脚本家の孤軍奮闘を見守っていることだろう。