目次
Page 1
ー 松岡昌宏に聞いた続編決定時の感想
Page 2
ー これまでの作品の中でつらいものだった
Page 3
ー 死を強く意識する瞬間を迎えたとしたら?

「自分自身をもっとスケールアップさせたいとは、あまり考えていないですね。別にあぐらをかいているわけではなくて、“あれを目指して、もっとこうして”ということは、これまでにやってきたので。あらかたの準備が整っている今は、楽しみながら演じることで、芝居の深みが増していったらいいなと思っています。まさに、今回の深煎りコーヒーみたいなビターな作品に挑戦することで」

松岡昌宏に聞いた続編決定時の感想

 傑作警察ミステリー小説をドラマ化し'21年からWOWOWで放送・配信された『連続ドラマW 密告はうたう 警視庁監察ファイル』。この作品で主人公の佐良正輝を演じ、俳優としての評価を高めたのが松岡昌宏。警視庁職員の不正を取り締まることから“警察内の警察”といわれる警務部人事一課(通称“ジンイチ”)の監察係員・佐良が未解決事件の真相に迫っていく社会派作品が、リアリティーや緊迫感をスケールアップさせ帰ってくる。

 待望の続編『連続ドラマW 密告はうたう2 警視庁監察ファイル』の制作が決まったときの感想を聞くと、意外な言葉が。

「完結した作品と受け止めていたので、びっくりしました。ここから、どう展開させていくんだろうと思って。視聴者の方から支持していただけたのは、純粋に面白かったからだと思います。あんなに画にこだわりのある監督も珍しい。内片(輝監督)マジックというか。映像も素敵ですしね」

 自身にとって特別な作品だと語る『密告はうたう』シリーズ。

「いままで経験したことのない社会派作品。こういったものも経験できる年齢になったんだなと思いました。前作の撮影をしたときは42歳くらい。やっと、世間的に“中年”といわれる年齢になったと実感することができました」

 パート2の撮影に入る前の衣装合わせの段階で、佐良が自身の中に戻ってきたことを感じたという。

「佐良には、これといった魅力はないです(笑)。僕の周りにはいないタイプで、あんなに我慢強い人は見たことがないし、長生きできないと思いますね。だって、耐えること以外がない人だから。くすりと笑うこともないし。生まれ変わっても、佐良の人生だけは嫌だということは自信を持って言えるかな(苦笑)」