これまでの作品の中でつらいものだった
前作で佐良は、親しくしていた後輩刑事・斎藤がなぜ目の前で殉職しなくてはならなかったのか、ひとつの答えにたどり着いた。今作では、1通の密告から浮上した特殊詐欺捜査の情報漏洩事案をきっかけに、斎藤の事件の真相も明らかにされていく。
「これまで経験してきた作品の中で前作と今作が1番か2番目につらいものでした。このドラマは、追い詰められるんです。逃げ場がない。ほかの映像作品では、現場に行ってから“今日も頑張りましょうね”で始めるタイプなのですが、この作品は違う。まず、朝起きたときにセリフを言うんです。伝わりにくいものや、覚えにくいセリフを布団の中でブツブツ、ブツブツ言ってから起きる。ゆとりみたいなものはこの作品にはそぐわなくて、悲しい、苦しいという感情を持ち続けるためにも、こんな作業が必要でした。それを3か月続けたら、疲れますよ」
佐良となるため自身を追い詰めていく日々の中で、くすっと笑ってしまった瞬間があったかを聞くと、
「撮影の合間に共演者の方とお話ししてリラックスさせていただくことはありました。あとは、池鉄(池田鉄洋)さんの顔を見たときかな(笑)。僕の中では、城島(茂)に似た存在で。前作と今作の撮影の間に、(松岡主演の)『家政夫のミタゾノ』で共演させていただいたこともあって心を許せるというか。
“相変わらず(マキタスポーツさんの)芝居はいいよね”ってしきりに言う池鉄さんに“うるさいな”ってツッコんだりして(笑)。そうやって、息抜きしていました」