「支離滅裂な内容で見ていて腹が立った」

 2位は『半分、青い。』(2018年)。片耳失聴のハンディキャップがあるヒロインを永野芽郁が演じた。「ヒロインが漫画家を目指すまではすごく面白かった」とカトリーヌさん。しかし、漫画家の夢に挫折した後から雲行きが怪しくなる。ヒロインが突然、五平餅屋に転身したかと思うと、今度は扇風機の開発を始めるという謎の展開に。

 アンケートでも「ヒロインの夢がコロコロ変わる」(大阪府・59歳・女性)、「だんだんつまらなくなっていった気がします」(佐賀県・42歳・男性)など、物語の方向転換に戸惑ったという声が多かった。SNSでは迷走する物語を揶揄して、『半分白目』という、不名誉なハッシュタグが作られるまでに。

「SNSは、視聴者たちの物語に対するツッコミで盛り上がっていました。見方を変えれば、それだけ注目度の高い作品だったといえるかもしれませんね」

 そして第1位は、圧倒的票数を獲得した『純と愛』(2012年)。朝ドラ史上屈指の問題作としても有名な本作。

 アンケートでは「支離滅裂な内容で、見ていて腹が立った」(千葉県・50歳・男性)、「超常現象でも起きているかのような理解に苦しむ演出、ストーリーだった」(宮城県・60歳・男性)、「最終回まで、主人公が不幸で終わるという斬新かつ残念な作品」(大阪府・54歳・男性)など、ネガティブな意見が多かった。カトリーヌさんもこの結果には「やっぱり、という感じです」と納得。

「ハッピーエンドで終わる従来の朝ドラに対し、脚本の遊川和彦さんが『すべてが不幸になったらどうなるだろう』という社会実験として生まれたのが、『純と愛』では? ヒロインがとことん不幸になるので、見ているほうも朝からしんどい気持ちになりました」

 夏菜演じるヒロインが、理想のホテルをつくる夢を追いかけるものの、すべて失敗。最愛の夫も病気で意識障害に。そして目覚めることのないまま最終回を迎え、視聴者に衝撃を与えた。

朝ドラはストーリーがパターン化しているといわれがちです。しかし『純と愛』を経たことで、パターン化してもいいから、幸せな朝ドラが見たいのだと気づかされました」

『おむすび』はまだ始まったばかり。平成のギャルは、朝ドラの歴史にどんな爪痕を残すのだろうか?


取材・文/中村未来