“イタチごっこ”の可能性は
今回の改変、見方を変えると「非常に進歩的なのでは」と、志田さんはこう続ける。
「トランスジェンダー問題が取り沙汰されている今、“ルックスA、B”という無機質な言葉はベターな表現かなと思います。ルックスAで見た目は男だけど、内面の性別はLGBTQのどれでもいいじゃない、と考えられますよね。企業がそこまで考えたかどうかは、深読みしすぎなのかもしれませんが(笑)」
しかし企業にクレームを入れることが目的で、重箱の隅をつつくような人もいる。今回の“A、B”も、男性がなぜAで女性がBなのかと言ってくる人も出てくるかもしれない。まさにイタチごっこになることも考えられるが……。
「“自分が気に入らない”という気持ちをポリコレに反する、と結びつけて、激しい反対運動にしている人は確かにいます。ポリコレの基準が日本に定着するには、まだ時間が必要かもしれません」
日本でのトランスジェンダー問題に対する議論は、始まったばかりだ。
「アメリカやイギリスは長い時間をかけて、LGBTQの権利を獲得してきました。日本はその歴史を、この10年で一気に消化している状態。それでも人権の観点から、多様性重視の問題が視野に入ってきたことは大切なことです。
今回のようにゲームで男女の表記について論議になることは、いいことじゃないかなと思います。大事なことは多様性の尊重であり、人間性を織り込んでもらえれば、存在を表す文字がAだろうがBであろうが、ささいなことじゃないですか」