「ラジオの魅力なんていうと困るんだけどね、やってくださいよっていうから、“はいよ”ってやっただけで。たった45年しかやってないよ、まだ(笑い)。お年寄りを“ババア”って言ったのは、放送始まってしばらくしてから。俺の番組が初めてじゃないの?」
しかし最初は非難や抗議の山だったと笑う。
「当たり前だよ、だってケンカ売ってるようなもんなんだから。でも俺が育った下町では、おばあちゃんなんて言わないでババアって呼んでたし、おふくろも狸ババアなんて呼んでたんだよ。だから俺にとっては常套語だったし、俺はおばあちゃんと思って“ババア”って言ってるから、聴いてるほうも悪意は感じないんじゃない? それはさ、下町ならではのかまい合い、お節介の精神なんだよ。でも、それって今はなくなっちゃっただろ?」
しかし番組を続けていくうちに、“ババアと言われたい”という人が増加。
「60歳から70歳くらいの方に言われるね。でも、俺のいまのババアの定義は、90歳くらい。だって俺もジジイなんだから(笑い)。ラジオってのは表通りじゃなくて裏通りのメディアだから、人間の本当の姿が見えるよね。普段着で会えるんだよ。テレビとはまったくの異質。俺が“ババア”って呼んで、そのババアの顔を映しゃいいってもんじゃないよ。だってホントに汚ねぇババアなんだから(笑い)! でも、リスナーは“まむしさんはああ言ってるけど、ホントはきれいな人なのね”って想像すんだよな。だから俺は助かるわけ! 映されたらたまったもんじゃないよ。そのババアだって、映されたら2度と来ないよ(笑い)」
生放送で現場に行くことは、社会とリンクすることだと語る。
「この30年くらいで高齢化社会にぶつかっちゃった。だから俺は介護とか福祉とか高齢化社会っていう笑いにつながらない難しい問題をわかりやすく、楽しく笑って聴けたらってことを知らず知らずやってたんだよ。ラジオは人集めのためのコンテンツだな。ラジオで“この指、とーまれっ”って言ってるようなもんだよ。ラジオが俺にうまく利用されてんだよ(笑い)。俺はさ、ラジオなんて関係なく、そこにいる人としゃべれたらいいんだ。でも、あんなバカバカしい放送を若い人も気にしてくれるってのはうれしいよね」