一昔前までは「ボーカロイドはオタクのもの」だった

(左から)ずっと真夜中でいいのに。『お勉強しといてよ』、YOASOBI『夜に駆ける』、ヨルシカ『思想犯』(YouTubeより)
(左から)ずっと真夜中でいいのに。『お勉強しといてよ』、YOASOBI『夜に駆ける』、ヨルシカ『思想犯』(YouTubeより)
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「2024年Spotifyジャパンランキング」によると、国内で最も再生されたアーティストの中にYOASOBI(4位)、ヨルシカ(5位)、米津玄師(6位)と、ボカロP出身アーティストが3組もランクインしている。

 ひと昔前は「ボーカロイドはオタクのもの」といった印象が強く、カラオケでもオタク仲間の間でひっそりと歌われる程度だった。

 それには2010年代以前のボーカロイド楽曲の特徴にあるかもしれない。その頃の楽曲の特徴としては、音域が広い、音の跳躍幅が広い、テンポが速い、早口、リズムが複雑など、人間が歌いにくいタイプの“楽曲あるある”の煮凝りのような作品が多かったためである。

 そもそもその頃のボカロPたちは“初音ミクなどのボーカロイドで遊ぶ”ことを最大の目的としており、万人ウケするために作られていない曲が多かったように感じる。

 2011年に黒うさPの『千本桜』がヒットし、ボーカロイド楽曲が広く知られてからも、その価値観はあまり変わらなかった。それが現在、ボカロサウンドたちが時代の音楽を創っているのにはさまざまな要因が考えられる。