「ステージでは、昔のようにダンサーと一緒に振り付けを踊っていたんです。よく平気だなと思いました。デビュー当時はできるけど、年齢を重ねるときついだろうなと。中山さんはずっと挑戦する人。マラソンのように、ずっと走り続けていたんですよ」
別れ際に「じゃあ東京でね」
ライブ後に楽屋を訪問。
「コロナ禍でずっと楽屋に入れなかったから、直接会うのは久しぶりでした。そうしたら声を上げて喜んでくれて。“よく頑張ってるね”って声をかけたら、彼女は“でしょ”って感じで。
私の体調のことも気遣ってくれて“食べすぎてない?”とか、親子のような会話をして。またみんなと一緒にごはんを食べたり、お酒を飲んだりしようかっていう話をしてから、じゃあ東京でねって別れたんです」
誰もが、まだ中山さんが旅立ってしまったことを受け入れられないでいる。前出の岩井氏は、訃報を聞いて映画のシーンを思い出していた。
「『Love Letter』は中山さんが息を止めて、ずっと目を瞑っているシーンから始まるんです。そこで苦しくなって、ハッと息を吐く。訃報を聞いたときも、映画みたいにハッと呼吸を続けてほしい、何かの冗談だろうって思いました……」
スクリーンでは、中山さんは今も微笑みを浮かべて私たちを見つめている─。