ようやくプロレスで生活ができるようになったときに、思いがけない出来事が。

「16歳の終わりごろでした。ダンプ松本さんに悪役にならないかって誘われたんです。イヤでしたが、先輩の言うことは絶対でしたから」

 『極悪同盟』に加入し、希代の悪役レスラー、ブル中野の誕生である。皮肉なことに、悪役となってテレビ出演も増えると、給料も急に増えた。

「17歳のときは月に70万〜100万円もらっていました」

 しかし、彼女は本当に、悪役にはなりたくなかった。

「前から両親も“アッチにだけは入るなよ”と言っていて。私も“行かないよ”と言っていたんですけどね」

 髪の毛を染め、亀裂のようなメークをしたら、いままで応援してくれていた親戚も離れていってしまい、

「隠れて付き合っていた彼氏も、私が半分ハゲの髪型にしたら離れていきました。私のファンだったんですが、ベビーフェイス(善玉役)が好きだったんでしょうね。

 でも、悪役になってよかったと思います。そうじゃなかったら中途半端なレスラーで終わっていました。きっと途中で辞めていたでしょうね。またやりたいとは思いませんが、プロレスは大好きです」