「主演として入る現場は、これまでと違い気が引き締まる思いでした。どんなふうに振る舞ったらいいのだろうと不安に感じた時期もあったのですが、私は私のままいようと思って。今は、どのスタッフの方ともしっかりコミュニケーションを図って“いっしょに作り上げていきましょう”と気持ちをつなげていくことを大切にしています。好きなんです、人と人とをつなぎあわせていくことが」
瞳を輝かせながら、迷いのない言葉で語ってくれた大島優子。昨年6月にAKB48を卒業し、夢だった女優業に邁進している彼女の初主演ドラマが木曜ドラマ劇場『ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~』。『SPEC』や『ケイゾク』などの名作を生み出した堤幸彦が、演出を手がけている。
「初めて台本をいただいたときは、ヤクザも警察の仕組みもまったくわからなくて、書いてある文字が暗号かと思いました(笑い)。堤さんとは『SPEC』でもごいっしょさせていただいているので、とても信頼しています。とにかく、テンポがいいし、目まぐるしく状況が変わっていく中で、ヒロインの麦秋だけが変わらない。どんなギャップが生まれるのかが、すごく楽しみです」
ドラマでは、ヤクザをやめたい人が電話をしてくる、暴力団離脱者電話相談室(通称“足抜けコール”)の担当警察官・永光麦秋を演じる。常に喪服で、左目が黒髪で隠れている印象的なビジュアルだが、
「麦秋は、常に冷静沈着で無表情。演じていると、死神なんじゃないかって思えてきます。彼女の中で、心なのか脳なのか、何かが死んでいるんじゃないかって。大島優子というものを殺して演じている感覚ですね。監督からは、“眼光で芝居をして欲しい”と言われたので、そこを大切にしようと思っています」
足抜けコールに電話してきた暴力団構成員をカタギに戻すため、力を使うことも。第1話から男性15人ほどを投げ飛ばすシーンもあるそう。
「アクションは、ダンスの振りみたいな感じで楽しいです。“血が騒ぐ?”とスタッフさんに言われたりしましたけど、昔、なにがあったわけでもないのに(笑い)。小さい女性が大きい男性を倒したという物理的なことより、小さいパワーでも大きな何かを倒せるというところを感じてもらえたらいいなと思います」
相棒の北村一輝については「存在が濃くて、どんなキャラを生み出してくれるのか楽しみです」と語る。共演者には、今作らしく強面の俳優さんが続々と出演するそう。
「ヤクザなのに足抜けしたいと麦秋を頼ってくるギャップが、すごく面白い(笑い)。ニコッと笑った顔がカワイかったりして、愛着がわいてきます。ちょっと違うかもしれませんが、ぶちゃカワな犬の相手するみたいに(笑い)。ドラマでは、カタギになりたい男性をリードしていきますが、プライベートでは引っ張ってもらいたい。いや、お互いにリードし合える、バランスがとれているほうがいいですね」