反抗期の息子を間に挟んでの夫婦関係も、ストーリー展開上、重要な役割を果たす。

女性読者が嫌にならないか心配に

あまりベタベタなハニーとダーリンみたいな夫婦は描かないですね(笑)。するする読めるっていうのを売りにしているつもりなんですが、今回に限っては、途中で特に女性読者が嫌にならないかなと心配しました。

 敏明の微妙なモラハラっぽさというか、冒頭から本筋に関係ないところで敏明のちょっと失礼な態度が出てきます。あれが実は伏線で、最後まで読めばわかるんですが、最初の時点で“なんか不愉快な小説だな”と思われて女性読者が読むのをやめてしまったら困るなと。最後まで読めば、“そういうことか”と納得してもらえると思いますよ」

最近の伊岡さん

箸置きを10年ぐらい集めています。未整理を含めると300個以上はあると思う。『水生生物』『動物、鳥』『食物と植物』『おめでた』など、ざっくりとジャンル分けしています。出かけると買うので最近は買いつくした感が(笑)。読者の方から頂いたものも、もちろん大切にコレクションに加えさせていただいています

伊岡瞬さんの箸置きコレクション 写真提供/伊岡瞬
伊岡瞬さんの箸置きコレクション 写真提供/伊岡瞬
【写真】作風からは想像できない…伊岡さんのコレクションが可愛すぎる!

取材・文/ガンガーラ田津美

伊岡瞬(いおか・しゅん)/1960年、東京都武蔵野市生まれ。2005年『いつか、虹の向こうへ』で第25回横溝正史ミステリ大賞とテレビ東京賞をダブル受賞しデビュー。2016年に『代償』、2019年に『悪寒』が啓文堂書店文庫大賞を受賞。2020年に『痣』で徳間文庫大賞を受賞。『不審者』『朽ちゆく庭』『清算』『水脈』など著書多数。