あなたも一度は経験したことがあるかもしれない。ネットを開くと、なぜかいきなり「著名人を日本銀行が提訴した」といったようなセンセーショナルな見出しのネットニュースが表示されたことが。実は今、楽天グループの創業者・三木谷浩史社長がターゲットになっているという。
「孫から三木谷に変わった」
「ここ数年、Yahoo!ニュースや読売新聞オンライン、またgooニュースといった信頼性のあるポータルサイトを模倣し、『投資話』をした有名人を日銀が提訴したというとんでもないフェイクニュースが横行しています。そのページには他にもクリックしたくなるような見出しの記事が躍るなど、一見、本物のニュースサイトのように見せかけているのが特徴です」(経済誌ライター、以下同)
だが興味本位でサイトを読み進めると、日銀が提訴するほどの一大事件でありながら、特定の「プラットフォーム」を利用して投資を行うと利益が急増すると“助言”。さらには実際に利益が出たとされる証拠として、銀行の取引記録も掲載し、記事の最後にプラットフォームへの登録フォームがあるのだ。
「この手口は『日銀提訴シリーズ』と言われている詐欺広告ページです。著名人が『徹子の部屋』や『アメトーーク!』といった番組で発言したという見出しを打って読者の関心をあおり、巧みに個人情報を登録するよう誘導。最終的には金を騙し取ることを目的としています」
番組も実在しているものなら、そこで発言したとされる著名人も錚々たる顔ぶれが悪用されてきた。ユニクロの柳井正氏、ソフトバンクの孫正義氏、実業家のホリエモンこと堀江貴文氏、さらにはタモリ、笑福亭鶴瓶、小島よしおといった人物の名前と顔写真がもちろん勝手に“詐欺の広告塔”に使われてしまっている。なぜ経済関係者と並んでタモリらの名前が使われているのかは謎だが、ターゲット層を幅広く設定している可能性もある。
そんな最新の事例が三木谷氏というわけだ。同氏もやはり『徹子の部屋』で詐欺商品を推奨するような虚偽のインタビューをして日銀に提訴されたのだという。もちろんこれも完全なフェイク記事だが、SNS上ではこの詐欺広告が拡散しており、警戒感が高まっている。
《孫から三木谷に変わった》 《詐欺ですよ。みなさんこんなうまい話はないですよ》 《詐欺サイトに誘導する広告が繰り返し表示されるようになってる 広告の審査とかどうなってんだ?》
など自衛を求める声が多く寄せられている。ではこうした詐欺広告の“被害者”にならないためにはどうしたらいいのだろうか。
「おそらく海外経由なのでしょうが、日本語の使い方や文章の言い回しが不自然だったり、『徹子の部屋』が“生放送”と書かれているなど、冷静になればすぐにファクトチェックできる箇所はいくつもある。そしてやはり情報源をしっかり確認することですね。
たとえば本物のニュースサイトを自分で検索して、同じニュースが載っているかどうかをチェック するのが大事です。詐欺サイトはそれっぽく見せかけていることが多いので、少しでも怪しいと思ったら検索して公式サイトと見比べるクセをつけるといいでしょう」
また、「不審な広告や情報を見かけた際には安易にクリックせず、周囲と情報を共有し合うことが被害拡大の防止につながる」とも指摘した。
巧妙化するネット詐欺。くれぐれも注意してほしい。