石破首相は配布理由を、「人付き合いが悪いだのケチだのとさんざん言われ、気にする部分が相当にあった」と説明。リーダーとして格好をつけたかったのか。
高額の仕立券で何着かの安いスーツはお断り
「数十年前は、新人議員が商品券やスーツの仕立て券などをもらうのは、よくある話だったのでしょう。石破首相自身、航空機のチケットにかえたと振り返っていました。高額の仕立て券をもらって“安価なスーツを何着か作れないか”と店にお願いして断られたこともあるとか。
日本はお土産文化の国。ある首相経験者は外遊時、欧州のハイブランドショップでネクタイなどの商品棚を指さして“ここからここまで全部”と爆買いして、若い議員らへの土産にしたという逸話もあります。しかし時代は変わり、太っ腹に振る舞ったのが裏目に出たようです」(永田町関係者)
この問題を受け、大手新聞社の世論調査では軒並み内閣支持率が急落。少数与党として厳しい政権運営が続く中、さらに追い込まれそうだ。
退陣Xデー、3つのポイント
政治評論家の有馬晴海さんは、石破首相の“退陣Xデー”を推測するうえで3つのポイントがあるという。
「まず来年度予算案成立と引き換えにクビを差し出すパターンがありますが、石破首相に関しては考えられません。野党は石破首相に政治倫理審査会への出席を求めるなど即退陣に追い込む気はない。あとは7月の参院選前に“選挙の顔”を代えるかどうか。支持率が危険水域にあることは事実です。かつて森喜朗元首相が低支持率にあえいだおり、小泉純一郎首相に交代して支持率が急上昇しましたが、それを再現できる人材は見当たりません。参院選は石破さんで戦う可能性が高い。選挙結果が参院でも与党過半数割れになれば辞めざるを得なくなります」(有馬さん)
ここまで追い込まれても、Xデーが近づいているとは言い難いようだ。とはいえ、首相として目立つ功績もなく、世論次第ともいえるだろう。

お土産の“前渡し”
有馬さんが続ける。
「石破首相は一生懸命にやっていると自信を持っているようです。もともと政治家同士で飲食などを共にして勢力を拡大するタイプではなく、かつての派閥も大きくなりませんでした。石破首相は以前“(人と)メシを食わなきゃ総理になれないならば、総理になれなくていいよ”と話したこともあるぐらいです。商品券を配ったのは参院の一部議員から辞任を求める声が上がる中、それが衆院に飛び火して大合唱になることを恐れたからかもしれません。
でも、だいたい、お土産の“前渡し”なんておかしいじゃないですか。渡すものを渡しておいて、欠席しにくい状況をつくりたかったのかもしれません。欠席者多数では首相のメンツが立ちませんから」
石破首相はその後、「私の足らざるところでした」と一転、詫びた。さて、物価高に苦しむ国民は、これを受け入れられるだろうか。