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 韓国籍の男性は30歳の誕生日までに兵役生活が義務づけられている。それは、芸能人も例外ではない。

「みんな行くわけだし、発表するまでもない。それにファンの人に来ていただいても逆に申し訳ないと感じていたので、発表したのは入隊の1週間前だったんです。それでも駆けつけてくれたファンの方がたくさんいて、見送ってくれる人がいるって、やっぱりうれしかったですね。両親は“人が多いから先に帰る”ってさっさと帰っちゃいましたけど(笑い)」

 入隊の日をそう振り返るのは、日本で活躍する韓国人アーティストのK。

「ぼくは20歳を過ぎた直後からずっと日本で生活していたので、当時は自然と“自分は行かなくていいのかな”って、勝手に思っていたかもしれません。誰でも経験することだから、しなきゃいけないとは思っていましたけど、今の生活を全部片づけて、大好きな音楽ができなくなってしまう不安が大きかったです」

 一般的に18~19歳で入隊することが多いが、Kが入隊したのは日本での活動に脂が乗っていた27歳だった。

「周りには“この年で行くの? 大変だよ!”ってからかわれたりもしたんですが、それで逆に気が楽になりました。軍では同じ日に入隊した3000人の中でいちばん年上だったので“高齢者”って呼ばれていました(笑い)」

 上下関係がとても厳しいという韓国。ただし、軍では年齢に関係なく、入隊の順番で上下が決まる。

「軍の中で先輩に反対すると命令違反になることもあるので、上下関係は非常に厳しく、気をつけなければいけません。それでも、腹が立つこともたくさんありましたよ」

 そんなときには、日記に思いをぶつけていた。

「ストレスを発散できるのが、たまたま日記だったんです。自由にできることが少なくて、初めはグチなどを自分だけがわかるように書いていたけど、自分自身とのコミュニケーションツールになっていきました。“何が問題だったんだろう”とか“俺もこの年だったら同じようなこと言っていたかもな”って日記を書きながら思えるようになってきて、冷静になれました」

 現在、東方神起のユンホが入隊している同じ軍楽隊にKも配属されていた。“高齢者”なだけに、肉体的にもきつかっただろうけど、どんな1日を過ごしていたのか?

「全体的につらかったですけど、慣れないことをやるっていうのが大変でした。朝は6時に起きて、すぐに全力で3.6キロ走。シャワーを浴びたら、朝ご飯を食べて、そこから部隊によって活動が違います。僕がいた軍楽隊は、楽器の練習をして、昼ご飯を食べて、慰問公演に行ったり、練習をしたり。夕方6時くらいに終わったら1時間の自由時間があって、後輩は先輩の分の洗濯や掃除もするので、初めのころはとにかく休みはありませんでしたね。夕飯後も掃除などをして夜10時に寝ます」

 ただ、それだけでは終わらなかった。

「毎日夜中に2時間、2人組で外の見張りがあって、その準備などを含めると睡眠時間を3時間半くらい削らなきゃいけないので、きつかったです。冬の夜中だと外の温度計が“壊れているでしょ!”ってくらいドンドン下がっちゃってマイナス20度になります。夏は虫にすごく刺されて、見張りだけは嫌でしたね」

 休暇は2年間でわずか30日程度という。

「訓練のない土日に外に出られるっていうのも、その中に含まれています。もちろん、軍服は着用です。1か月前くらいから休みを申請して、緊急な召集とかがあると取り消しになっちゃうこともありますけど、その日は待ち遠しいですよ! ただ、軍楽隊は土日に慰問公演が多かったので、土日は休めなかったですね。でも、公演のために外に出られるだけでも幸せでした」