'75年に発売されて大ヒットした『なごり雪』を歌ったイルカ。今年で発売からちょうど40周年となった。その隣にいるのは、イルカのひとり息子でシンガー・ソングライターの神部冬馬。親子2代で歌い手ということに。
冬馬がまだ幼いころ、テレビ局から子役としての出演オファーもあった。しかし、母親としては、“子どもとして普通の生活を送ってほしい”という願いから断ってきたというイルカ。
「息子は小さいころから物怖じしない性格で、出たがりなタイプでした。しかし、芸能活動をすることで、子どものときに経験するべきことができなかったら、大人になってあまり幸せになれないんじゃないかなと思ったんです。夫は“絶対いける!”って言っていましたが(笑い)。だから、息子が歌手になりたいと言ってくれたときは、夫はかなり喜んでいましたね」(イルカ)
今は、イルカの両親、冬馬の家族も含めて6人で暮らしているというが、仲むつまじい家族の秘訣を聞いてみた。
「当然ですが“会話”ですね。単に会話というと、つまらない言葉かと思われますが、心が通っていないと言葉は出ないんです。逆に会話が出てくると、相手の心の内がわかってくるんですよ。夫の具合が悪くなったとき、コミュニケーションがとりづらくなっても、会話はしていました。言葉を交わし合うことは、家族をつくっていくうえで大切な鍵だと思うんです」(イルカ)
冬馬も家族の会話が大事という。
「何かを共通して行う時間だと思います。うちは家族4世代ですが、食事のときは家にいる人は一緒にと決まっています。ひとつのテーブルを囲んで、嫌でも20~30分は同じ空間にいるので、自然と会話もしますよね。やはり、その時間は大事かなと。母には、小さいときから“食事の時間を守れ”と言われていました。でも、そんな母がいちばん、時間にルーズだったりするんですけど(笑い)」(冬馬)
'04年から、イルカは国際自然保護連合(IUCN)の親善大使も務め、自身のコンサートで販売している本人プロデュース・デザインのグッズ収益の一部を寄付金とするなど、環境保全にも注力。
「完全なボランティアなんです。IUCNの国際会議の一環でバンコクに行ったときに、領事館などの2、3か所で歌ってほしいと言われたときは、バンドの分の費用は自腹だったので、息子にも来てもらいました。それ以来、息子には環境活動や復興支援のコンサートに参加してもらっています」(イルカ)
1日でも長くコンサートを続けたい。そのためには体調管理を大事にすることも今後の目標という。一方、冬馬は「いつか自分のステージに母を呼べるようになりたい」と語っていた。それは、最高の親孝行に違いない。