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 真面目なのにちゃめっ気たっぷりな斎藤工。新ドラマ『臨床犯罪学者 火村英生の推理』で’16年をスタートさせる。

 ブレイク後、熱血ぶりが心地いい爽やかな役が続いた。久しぶりの“攻めの芝居”にウズウズしているのだろうか?

「そうですね。でも、『八重の桜』('13年)をやったときに、綾野剛くんと共演したんです。僕は、彼が俳優になる前からの知り合いで。ゲリラ撮影とか、本当にアンダーグラウンドな映画をお互いにやっていて(笑い)。

 昔からの仲間なんですけど、そんな2人が“ど”メジャーな大河ドラマというフィールドで、殿と秘書(※会津藩主と重臣)みたいな関係で芝居をしていることがすごくおもしろくて」

 意外な友情にびっくり。同作には西島秀俊、オダギリジョー、長谷川博己、村上淳らが名を連ねている。

「いい意味で、根っこがどメジャーじゃない印象の方が多かった気がします。そこで剛くんと“亜流と主流は円のようにぐるぐるまわっていくね”なんて話しましたね。スタンダードに思っていたものが亜流になり、亜流が主流になり……でもそれが、また周期として変わっていくというか。

 だから僕の歴史の中では、むしろ、今の立ち位置で番組を背負っているほうが、実はすごく尖ったこと。非常に希有な状況だと思っていて、それを楽しんでいます。これが来年も続くかといったら、そんな保証はまったくない。だから、崖の上にいることはいつでも変わらないんです」

 今年でデビュー16年目を迎える。長いキャリアと地道な経験が“人生プラマイゼロ”というモットーを作り上げた。

 一方で、多忙な毎日が続こうとも、映画館通いや映画製作への情熱や頻度は変わらない。最近では『東京学生映画祭』でグランプリを獲得した学生のメジャーデビューの手伝いもしていると穏やかに笑う。

「海外だとちゃんと若い才能のステップアップの場が設けられていて、“一緒にやろう”と引き上げる大人がいるんですけど、日本にはその土壌がない。その現状を映画界&映画関係者に訴えているんです。

 そんなことを続けるにあたって、僕が“どこを軸に”“どんな活動をしているか”は、とても重要なことだと思うようになりました。こうして連ドラの主演をやらせていただく立場にいる自分に、またひとつの意味が生まれてきたなと感じています」

 珍しく前向きな言葉がこぼれた。'16年をどんな年にしたいかと尋ねた。

「野望が大きすぎて(笑い)。なんだろう? ちょっとゆっくり行きたいですね。速度は調整できるものではないと思うんですが、のまれないようにしたいですね。芸能界は大きなうねりだらけなので(笑い)。その中にいながらも、どこか無関係で無神経になれる術を手に入れつつあるので、飄々とやっていけたらと思っています」