キャッチコピーは「カレと父は同い年でした」。
28歳年下の彼女の純真さに惹かれ結婚を決意した“カレ”を演じるのが遠藤憲一で、可愛い娘を自分と同い年のオヤジと結婚させたくない“父”を演じるのが渡部篤郎。
ダブル主演のアラフィフ俳優が繰り広げる軽妙なセリフの掛け合いに「おじさんの攻防がたまらない」と評判になっているのが、毎週火曜22:00から放送中のドラマ『お義父さんと呼ばせて』(カンテレ・フジ系)。
遠藤と渡部のほかに、蓮佛美沙子、和久井映見、新川優愛、中村アン、中村ゆりかの豪華女優陣と、中村倫也、山崎育三郎、品川徹など芸達者な個性派俳優が脇を固め、『医龍』『BOSS』『コード・ブルー』などフジテレビの人気ドラマを手がけてきた脚本家・林宏司によるオリジナル脚本で、笑いと感動を織り交ぜて描く。
遠藤が演じる大道寺保のお相手、花澤美蘭役の蓮佛美沙子が自身のインスタグラムで、
「ドラマに出てくるみんなが大好きだー!林さんの描く脚本が好きだー!うあー!って絶叫してる。心が。胸がキューってなった。宝箱みたいなドラマだよ。本当に。」
と投稿するほど、出演者たちがノッているのが伝わってくるドラマだ。
今週の5話では、花澤美蘭(蓮佛)の兄・葉理男(中村倫也)が家族にも秘密にしていた女装癖が明らかに。すでにTwitterで「中村倫也のカワイすぎる女装姿!」の写真が拡散して話題になっている。そこで16日の放送前に急遽、中村倫也にインタビューを申し込んだ。
――写真を拝見しましたが、ほんとに可愛いですねえ。女装は初めて?
中村「実はデビュー間もない20歳のときから、女形やオカマとかゲイとか何度か……。こういう顔なので(笑い)」
――では、もう慣れたものですね。
中村「でも、同じ女装でもキャラクターが違うので、新鮮な女装でしたね」
――葉理男みたいに女装が癖になったりしないですか?
中村「ないですけど、やれば可愛いと言われるのは知ってます(笑い)。でも、ちょっとイラッとするというか、別にどう思われてもいいですけど、不思議な感覚ですよね。いつからか男に対して“可愛い”と言うのがほめ言葉になってますけど、江戸時代に武士に向かって可愛いと言ったら斬られますからね(笑い)」
――主演の遠藤憲一さんも最近、女性から“可愛い”と言われて人気なんですが、素顔はどんな方なんですか? 共演は初めて?
中村「気さくで丁寧で親切。人として安心できる方です。共演は、舞台で同じ作品に出させていただいたりしたことはありますが、演技のからみはありませんでした。今回、第5話でがっつりやらせていただけたので楽しかったですね。何も考えずにポンと入っても、自由自在にラリーができる。掛け合いの中から生まれ出てくるものがたくさんあって、わくわくしました」
――中村さんも若手実力派俳優として注目されていますが、厳しい演技指導で知られる演出家・蜷川幸雄さんがほめていたいう話を聞きました。
中村「蜷川さんとは舞台で3回やらせていただいて、20歳の時は僕自身何もできなくて、“公衆便所”と言われました。21歳の時は“天才役者”と呼ばれましたが、ちょっとうまくなったからって、という今度は逆のいじり方ですね(笑い)。26歳の時の『ヴェニスの商人』で、初めて“お前はうまいから大丈夫”と言っていただけました」
――変幻自在のカメレオン俳優という異名もありますが、いつもクールで何か秘めている印象があります。葉理男にとっての女装のように、誰にも言えない“秘密”とかあります?
中村「僕は愚か者というか、自分でも自分がわからないところがある。でも、役と向き合うことで自分を知ることができるんです。別人になるために自分を振り返り、自分との差を感じ取って埋めるのが役作りだと思うんです。でも、今回の役作りで、自分にとっての秘密は何かなと考えたら全然なかった(笑い)。僕は聞かれたら何でも答えるし、隠すくらいなら笑い話にしたいと思います。でも周囲からは、たしかにミステリアスとか、つかみどころがないとかよく言われます。今回はそんな周りとのギャップを思い出しましたね」
――ちなみに、私生活で最近ハマっていることは?
中村「冷凍パスタですね。近所のスーパーで冷凍食品が半額の日があるのでまとめ買いしたら、めちゃくちゃうまくて。これが本物のアルデンテか!と(笑い)。イタリア人が食べたらびっくりして帰国しちゃうと思います」
――意外と面白い人ですね。俳優・中村倫也をまだ知らない人もいると思うので、自分をアピールすると?
中村「ここ数年、出させていただいてる作品にはハズレがないと思っています。演じていて自分でも面白いと思える作品ばかり。そういう意味では運が強いと思う。僕が出ている作品を追いかけてもらえば、面白い作品に出会えると思うので、よろしくお願いします」
――たしかに『お義父さんと呼ばせて』も観ている人の評判はすごくいいです。
中村「面白くてクスッとできるし、1週間が始まったばかりで憂鬱な火曜の夜に、明るく元気になれるドラマだと思います。うまいと言われるラーメン屋も自分で食べてみないとわからないですよね。なので、この作品も一口食べてみてください(笑い)。行きつけのラーメン屋になるかもしれないですよ」
――いい感じのコメントが出てくるようになりましたね。では最後の質問です。もし自分が雑誌記者だったら、中村倫也という俳優にどんな質問をしたいですか?
「そうですねえ……。“何に一番わくわくしますか?”って聞きたいですね。その人の人間性のベースにあるのは、“何にわくわくするのか”ということじゃないかと思うんです」
――で、その質問に中村倫也が答えると?
「……かわいい女の子とおしゃべりすること、ですかね(笑い)。だって、男を玉ねぎみたいにむいていったら、“女の子にモテたい”ってことしか残らないと思いますよ」
■中村倫也のプロフィール
なかむら・ともや 1986年12月24日生まれの29歳。高校生のときにスカウトされ、所属事務所の養成所で演技を学ぶ。2005年にダンカン監督の映画『七人の弔』で俳優デビュー。多くの映画、ドラマ、舞台に出演し、2014年に舞台初主演の『ヒストリーボーイズ』で第22回読売演劇大賞優秀男優賞受賞。2015年のヒットドラマ『下町ロケット』(TBS系)の演技でも注目される。3月5日には主演映画『星ガ丘ワンダーランド』の全国公開も控えている。同じ事務所の成宮寛貴や松坂桃李、菅田将暉に続く今年ブレイクが期待される若手実力派俳優の一人。