「命」というギャグで一世を風靡したお笑い芸人は、いま、全国の少年院で「命」の大切さを教えているという。その講演内容の一部がテレビで紹介されるやいなや、「感動した!」と話題に。お笑い芸人が少年院の講師を務めるようになったのか、そのいきさつを、ゴルゴ本人に聞いてみた。
「刑務所に服役していた人たちをボランティアで支援している方から、めぐりめぐってお話をいただきました。3年前の11月22日に多摩少年院で話したのが最初です。これまでに12~13回ほど講演をしてきました」
講演は、少年院での授業の一環として行われており、全国の少年院が対象。ゴルゴも仕事ではなく、あくまでボランティアだ。
「俺は、あの少年たち全員を救えるなんて大それたことは考えていませんよ。1人でも何かに気がついて、“頑張ろう”という気持ちになってもらえたらいいと思うんです。それくらいの小さな心の動きがあれば、十分満足です」
講演では、少年たちに「自分は運がいいと思う人、手を挙げて」と呼びかける。すると、9割が“運が悪い”ほうに手を挙げるそうだ。
「理由を聞くと、“ここにいるから”って。でも、運がいいと思う人は“捕まったことに感謝してる”って言うんです。感謝しながら生きるほうが絶対にいいけど、なかなかそう思えない子もいる」
そこでひらめいたのが、じゃんけん大会をさせること。
「優勝した子と1回も勝てなかった子の2人を前に呼び出して勝負させます。じゃんけんは、グー、チョキ、パーの3種類。あいこは負けじゃないと考えると、3分の2は有利なわけですよ。でも、あいこを負けととらえたら3分の2は負け。考え方によって心構えが違ってきます。もちろん、負け続けた子がまた負けることもありますが、勝ち続ける、もしくは負け続けることなんてないと伝えます。運とかチャンスなんて、そのへんにいっぱい転がっていて、自分の考え方次第で向き合い方は変わるんです」
講師としても人気となり、活動の幅が広がりそうだ。
「芸能人になって顔が売れたからってエライわけじゃないし、俺だって1つの『命』であり、動植物とも変わらないと思います。ただ、芸能人としては、こういう講演をやっていかなきゃなっていうのはありますね」