【好評連載・フィフィ姐さんの言いたい放題】抗ガン剤治療を終え、退院を報告する旨を綴った、11月6日更新の北斗晶さんのブログ。そのタイトルにつけられた“シャバに出た”との表現について、ブログが炎上しているという趣旨のニュース記事が広がった。この記事では“医療系ライター”という人物が、乳がんと闘っている人たちに対して、がんは犯罪であり病院は刑務所だという意味に繋がると指摘している。だが、実際にそうした批判の声が多数上がっていたのだろうか。フィフィがネットニュースのタイトルのあり方に疑問を投げかける。

タイトルに炎上ってあるけど、本当に炎上しているの?

20151124 hokuto (1)

 “シャバに出た”って表現が原因でブログが炎上した、と書かれている例の記事。実際、私もその記事に釣られ、ツイッターで意見を発したうちの一人なんだけど、本当に批判の声がたくさん上がっているのか調べてみたのね。すると驚くべきことに、記事のような声は見受けられず、それどころか、そのほとんどが北斗さんを応援する声だったんです。

 ネットニュースとかを見ていると、“炎上”“不謹慎”“批判殺到”という言葉がタイトルに入っている記事を思わずクリックしてしまうでしょ? そういう心理をついて、ネット上にはこんな感じのタイトルが付けられた記事が横行しがちなわけ。実際、配信元のサイトは、それでアクセス数が稼げてしまうからね。私も身に覚えがあるんだけど、2、3人から批判の声が上がっただけで、すぐに炎上と言われちゃうんだよね。

 今回の記事も、こういった心理を突いたもの。いかにも批判が殺到したかのような書きぶりだけど、私がつぶやいたツイート内容に対するリプライでも、あるいは北斗さんのブログのコメント欄でも批判はほとんど見受けられず、多くは温かいコメントばかりでしたよ。闘病中の患者さんたちからも“勇気づけられた”とのコメントも多くありました。

記事内容によっては、嘘の実態が作り出されることも

 もちろん、なかには少数意見ではあるけど、批判もありました。しかし、その批判も、言われてみればそうとも受け取れると言ったような、いわば記事に誘導されたものが多い印象を受けました。本当に多くの批判があったのか、炎上したのか、疑問に思ってしまいます。

 これは怖いことだよね。“乳ガン患者たちとの交流も深い医療系ライター”なんていう、最もらしい人物の意見というカタチで、思わず信じ込ませてしまうような説得力を持たせているけど、もしこれが虚構だったとしたら、記事によって嘘の実態が作り上げられてしまうわけだからね。しかも、今回のケースがそれに当たるとしたら、かなり悪質な誘導だと思わない?

 そして、私たちがそうした批判をいかにもありそうな話だと思ってしまう背景には、ネットの匿名性を利用し、揚げ足取りをするクレーマーたちの存在もあるわけです。こうした人たちからの「言葉狩り」を恐れるあまり、私たち情報を発信する側の表現だって制限されてしまう流れがあるんだよね。

 北斗さんの今回のブログのタイトルは、辛いことも明るく笑い飛ばすように、彼女なりの表現方法で“シャバに出た”という言葉を使っただけでしょ。実際、ブログを読んで私が思ったのは、退院したことに対する喜ばしい気持ちだけ。これからの治療に専念してください、ということでいっぱいです。多くの人がそう思っているようにね。

(構成・文/岸沙織)