昨年夏、記者会見で「うわーん」と泣いて世界に恥をさらした野々村竜太郎元兵庫県議(48)。城崎温泉の視察や東京出張などの名目で頻繁に「カラ出張」し政務活動費を懐にした。約1800万円を返還して議員辞職、今回の統一地方選にも出なかったが、兵庫県議会事務局は「虚偽公文書作成罪」で刑事告訴し、県警は家宅捜索や事情聴取の末、神戸地検に書類送検した。
「容疑を認め、全額返金し、議員辞職して報道などで社会的制裁も受けている。神戸地検は起訴猶予か不起訴にし、公判請求することはないと思います」(地元記者)
本人は一体どうしているのか。西宮市のマンションを出て両親の自宅に籠もっていると聞き、大阪市住之江区の緑豊かな高層の市営住宅に出かけると顔なじみの雑誌カメラマンの姿も。「3日張り込んでるけどアカン。いるはずやけど現れませんわ」。
90歳を越える父親は入院中という。ゴミを出しに廊下に出てきた女性がこちらをパッと見るや、慌てて引っ込む。インターホンにも応答しない。80代半ばという野々村氏の母親だ。同じ住宅の女性は「ご両親はちょっと浮世離れしているというかプライドが高く、エレベーターでも他人と一緒になるのが嫌なのか、ほかの人が乗ってくると降りてしまったりするんです」と声をひそめるが「竜太郎さん本人は見たことありません」。
「マザコン」と言われる野々村氏。初当選時は議員証書授与式に母親がついてきたという。
「昨夏はすごい報道陣で家族も一歩も出られないので"差し入れしようか"などとご近所同士で言っていました。お父さまは資産家で〝市に寄付などをしていたから市営住宅は抽選なしで入れた〟とか言ってて、お金には困っていないと思います」と近所の女性。
そんな資産家が市営住宅に住むのもやや不思議だが……。
今年3月下旬、フジテレビ系情報番組『Mr.サンデー』が、メガネに山高帽、マスクで変装した野々村氏が同番組ディレクターを振り払って走る様子を報じたが、住民たちは「そんな変装した姿見たことないです」。母親も野々村氏も逃げ足は早い。
野々村氏は「顔が知られているからアルバイトもできない」と親しい友人にこぼしているという。
それにしても、よく一歩も出ずにいられるものだ。子どものように泣きじゃくるまでいかなくとも、野々村氏は「普通に行動する」ことが苦手のようだ。
橋下徹大阪市長の母校、大阪府立北野高校から関西大学法学部を卒業し伊丹市役所に勤めた後、政治家を志して兵庫・太子町長選などで落選を4度繰り返し、’11年の統一地方選でやっとつかんだ議員のイスだが当初から奇異だった。
「本会議のときなど議員控室で答弁を練習し、直立不動で"さあ、いくぞ"と気合を入れてから議場に向かったりし、周囲はちょっと引いていましたね」(無所属の兵庫県議)