東京都中野区弥生町で8月26日夜、施錠された女性の部屋で絞殺事件が発覚した。自宅マンションで遺体となって見つかったのは飲食店アルバイトで劇団員女優の加賀谷理沙さん(25)。
「大阪・寝屋川市の中1殺害事件では防犯カメラの威力が発揮されました。でも、このあたりの商店街にはほとんどカメラはない。それに彼女の住むマンション入り口のカメラは電源が入っていないダミーだったそうです。まさしく都会の死角ですよ」(近所の住民)
宮城県出身で県内の大学を卒業後、女優を目指して上京。築20数年でオートロックやエレベーターが設置されていない代わりに、家賃およそ6万円と比較的安価な1Kマンションでひとり暮らししていた。
遺体は玄関のそばにあお向けで全裸、顔にタオルケットがかけられていた。首に直径1~2センチのひも状のもので絞められた痕があった。
「顔見知りの犯行の場合、遺体の顔をタオルなどで覆うことが多い。加賀谷さんの上半身には犯人がつけたと思われる唾液があり、爪には犯人を引っかいたとみられる皮膚片が残っていた。捜査当局は被害者周辺の関係者にDNA鑑定の協力などを求め、容疑者逮捕は近いと思われた。ところが、元彼も今彼も劇団員も近隣住民も全部シロ。アリバイも成立した。該当する前科者もなし。結果的に通りすがりの流しの犯行の可能性も消せなくなり、捜査はほぼ振り出しに戻ってしまった」(全国紙社会部記者)
じつは7月中旬ごろ、近隣住民から「男女が口論している。女性の泣いている声がする」と通報があり、加賀谷さん宅に警官が駆けつける騒ぎがあった。一緒にいた男性も事情を聴かれている。
「ほぼ同時期の深夜、近くの公園で2時間半も沖縄弁の男性と言い争っていたという近所の話がある。加賀谷さんの顔にアザができていて、知人に“知らない人からいきなり殴られた”と言い訳したこともあったという。男女間トラブルをにおわせるこれだけの前兆があって、流しの犯行とは考えにくかった」(同記者)
加賀谷さんは遺体で発見される前日の25日午前0時ごろ、知人とLINEのやりとりを始めた。しかし、同1時40分ごろメッセージが未読に。以降、加賀谷さんと電話やメールをした関係者はなく、近隣住民の目撃情報もない。
不可解な点はいくつもある。まず、遺体はなぜ全裸だったのか。
室内の風呂には水(湯)が張られており、下着などが洗濯かごに放り込まれていた。入浴中、もしくは入浴前後に犯人と対面した可能性がある。
「無理やり脱がされた形跡はない。唾液は残っていたがレイプされた痕跡はない」(前出の記者)
仮に誰かが訪問してきたとして、相手が親しい女性や彼氏などでない限り、タオルを身体に巻いた状態でドアを開けるだろうか。無防備だった理由がわからない。
2つ目のナゾは防犯カメラの映像だ。最寄りの地下鉄丸ノ内線・中野新橋駅から自宅マンションまでは約400メートル。街頭カメラは見当たらなかったが、駅構内に6台と、帰宅途中にあるパチンコ店2軒に計3台の防犯カメラがある。
「加賀谷さんが、黒いリュックサックと事件後公開されたトートバッグを持って歩く姿はとらえられている。しかし、加賀谷さんと親しい人物や、あとをつけ狙う人物の映像は確認されていない」(同記者)
犯人はマンションの防犯カメラに電源が入っていないことを知っていたのだろうか。簡単に識別する方法はないとみられる。わかっていて堂々とマンションに侵入したとすれば、内部事情か防犯機器に通じた人物ということになる。
〈山嵜信明と『週刊女性』取材班〉