「まず、女ってのは原則論に厳しいんですよ。男はときに原則をねじ曲げたり、融通をきかせる世界に生きていますが、女はいい加減なことでごまかされたくない。憲法の原則は守ってもらいたいんです。次に、女性の意見が政治に反映されない国内事情がある。日本の女性国会議員比率(衆院)は9.5%で世界190か国で154位。しかも安倍さんに重用されている女性議員は手飼いの子分ばかり」
3つ目は、戦闘要員と非戦闘要員の違い。戦闘要員たる男性は敵地占領で万歳するなど戦争に勝つイメージを描きやすいが、女性は違う。
「夫や息子を戦場に奪われ、残された子どもたちを守らなければいけなくなる。やせ細っていく子を見守るのは女です。わが子が飢え、乳が出なくて死んでいくのを男は見ませんから。敵兵にレイプされれば、身ごもった子どもの人生も背負う。停戦協定で男の戦争は終わっても、女の戦争は簡単に終われない。戦争被害に対するイマジネーションは、女のほうがはるかに高いんです」(樋口氏)
一方、安倍首相が安保法案を合憲としてきた根拠は崩れた。憲法学者や元内閣法制局長官が「違憲」と指摘しても、政府側は「違憲かどうかを判断するのは学者ではなく最高裁だ」などと強弁してきた。
ところが、3日の朝日新聞はその最高裁の山口繁元長官のインタビューを掲載。「集団的自衛権行使は違憲。立憲主義とは何かをわきまえていない」とする見解を紹介した。
「取材した記者は憲法のエキスパートです。憲法の番人である最高裁の元トップが、はっきりと集団的自衛権の行使を容認する立法は違憲だと述べました。司法のど真ん中を歩いてきた人だから説得力があります」(朝日新聞関係者)
安保法案を「合憲」と言い張る政府が根拠とする1959年の砂川事件最高裁判決についても、山口元長官は「当時の最高裁が集団的自衛権を意識していたとは到底考えられない」とバッサリだった。
国会前デモの参加者の話は下欄のとおり。女性らしい工夫や裏話も聞くことができた。
東京都文京区の主婦・大瀧妙子さん(68)は「年金暮らしですから、飲み物持参の手弁当で来ました。若い人が頑張ってくれて頼もしい。安倍首相にプレッシャーを与えられたと思う」とにっこり。
姉妹で参加した高橋真弓さん(55)、高橋真澄さん(52)はおそろいのマリンルックで。100円ショップで買った発泡スチロールボードに「NO WAR!」と書かれた絵を張りつけ、製作2時間のプラカードを掲げた。
大学2年の港なおさん(20)はコンビニで500円のレインコートを購入。おしゃれなファッションは隠れてしまったけれど、「今日は10万人の1人になろうと決めて来ました」。同学年の平井葉子さん(20)は「aikoのライブとどっちに行こうか直前まで迷いました。ライブに行く友達に“ごめんこっち行くわ”とLINEしたら、“まじかよ~”と返ってきたけど許してくれるはず」。
女心がわからない首相はいらない。