大手デベロッパー・三井不動産レジデンシャルが売主のマンションで発覚した欠陥。問題となっているのは、神奈川県横浜市のマンション『パークシティLaLa横浜』。今回、住戸を購入価格以上で買い取る方針をデベロッパーサイドが示しているというが――。

20151103 menson001 (3)

「今は建築後にマンションの価格が上がることはないので、マンションの相場も新築時よりは下がっている状態です。ソンはしない条件だと思いますよ」(地元の不動産屋さん)

 今回の対応を専門家はどう評価するのか。住宅ジャーナリストの山本久美子さんは、

「実際に住んでいる方にとっては不安で仕方ないと思いますが、一般的なルールでいうと、早い段階から手厚い補償を示していると思います。赤字を出してもブランドイメージを守りたいと考えているからでしょうね」

 とはいえ、問題が解決するまでには長い時間がかかりそうだ。

「全棟建て替えるためには705世帯が同意する必要があります。1戸でも反対があれば工事は始められないんです。法律上でも5分の4以上が賛成すれば、あとの5分の1を立ち退かせることができます。が、5分の4をまとめるのは簡単ではありません。

 反対した人がもし裁判を起こせば、判決まで最低でも2~3年はかかります。仮に、700世帯規模のマンションを、老朽化を理由に建て替えようということになった場合、話し合いが10年に及ぶこともありますよ」(住宅ジャーナリスト・榊淳司さん)

 参考になるのが、昨年に発覚した横浜市三ツ沢のマンションの欠陥問題だ。こちらは住友不動産が分譲しているが、今回と同じように地盤に杭が届いていなかったことで建物が傾いた。対象となったのは約100世帯だが、建て替えが発表されて1年がたつのにまだ工事は始まっていない。

 『LaLa横浜』の建て替えはさらに大規模になる。もちろん費用も巨額だ。

「1戸2000万円くらいだとすると、705世帯建て替えるには141億円かかります。全部買い取るならば、元の売値の平均が3000万円くらいだったので、上乗せして4000万円で全戸買うと282億円ですね。全員が売ることはないでしょうから、費用は141億円から282億円の間です。3年間の仮住まいの費用が1戸500万円と考えると、全部で約35億円。建て替え代が約200億円ならプラス35億円の費用がかかると言えます」(前出・榊さん)

 信頼を裏切った報いは大きい。住民に対して責任を持つのは三井だが、最終的には偽装を認めた旭化成建材が負担することになりそうだ。