3月21日、名古屋市にある東山動植物園で扉を開けたまま観覧車が1周するなど、同日に2件の事故が起こった。テーマパークでの事故はどのくらい起きているのか?
過去5年、国交省が報告を受けた重大な事例だけでも、平均で年8件の事故が起こっていた。来場者が死亡や重傷を負ったケースもある。いったいなぜテーマパークでの事故はなくならないのだろうか?
設備への定期的な点検とスタッフの人的ミスがなければ、安全性を確保できる遊園地の遊戯施設だが、その点検にも問題は潜んでいる。
「点検というのが、形だけというのはありますよね。事故がなくならないのは通り一遍の点検でしかないことが原因」
国交省昇降機等事故調査部会の臨時委員も務める、日本大学理工学部の青木義男教授はバッサリ。
「点検の達人は過去たくさんいらっしゃいました。走り方がいつもと違う、ブレーキの利きが悪い、変な音、焦げ臭いなど五感を使って探知していたんです。金属がグニャーッと曲がってから、ボキッと折れる。壊れるまで時間的余裕があります。
その予兆を必ず見逃さないことが大切です。全体的な問題として、経験値が少ない、機械や電気に精通している人が遊園地に少ないということです」
近ごろでは若い現場技術者が「錆ってなんですか? それが故障や事故の原因になりうるのですか?」と質問してくる、と青木教授。
「すべての若い技術者がそうだとはいいませんが、マニュアルだけを頼りに確認をする世代になっているのも不安要素のひとつです。五感で確認することがしっかり継承されることも大切です」
鉄道系の遊園地などは、遊具と鉄道の整備が似ていることから整備点検に精通していると青木教授は見ている。では遊園地で乗り物に乗る際どこに注意すればいいのか。
「動いている部分。つまり車輪やレールがしっかりと清潔に保たれているところは、まあまあ大丈夫な感じがします。柱など一見きれいに見えても錆の上にペンキを塗って化粧をし表面上、取り繕っているところは危ない。デコボコが表面に出るからすぐにわかる。実際ペンキ化粧している遊園地は事故を起こしましたよ」(青木教授)
さらに、こうアドバイス。
「子どもが単独で乗るアトラクションもありますが、できるだけ大人の人が一緒に乗ってください。子どもは私たちの想像できない挙動をすることがありますから。親子の思い出もたくさん作れますしね」