先日、ドナルド・トランプ次期大統領が誕生した米大統領選とあわせて、医療用大麻合法化の賛否を問う投票が行われていたことは、日本ではあまり報じられていない。
結果は4州が賛成多数で、新たに可決。これで全米28州で医療用大麻が合法化された。前出・元麻取の高濱氏は、
「州法で合法でも、最高法規である連邦法では禁止しているんですよ。だから逮捕することもできる。しかし、いちいち逮捕していたら留置場がいっぱいになってしまう」
と、警察行政に支障が出ることを避けるための合法化と話す。各国の大麻の生涯経験率では米国は半数近くが経験している。すべてに対処していたら国が傾きかねない。
実際、大麻の規制緩和について検討していた米国司法省麻薬取締局は、今年8月、医療用途がいまだ何も確認されていないこと、医療監視下での使用の安全性がないこと、高い乱用可能性があることから、大麻をヘロインやLSDなどと同様、もっとも規制が厳しいスケジュールのままにするという見解を発表している。
薬物を調達していた元売人はこう考える
米司法省麻薬取締局の'14年の報告書は、《「医療」大麻運動の背後にいる者たちは、医薬品として大麻に必ずしも関心があるわけではない。単に娯楽目的の大麻合法化という目標の手段としてみているだけである》と、推進派の思惑を看破している。
高樹被告の事件と前後して、鳥取県でも10月、「栽培用大麻で町おこしを」と町の後押しを受け大麻を栽培していた上野俊彦被告が大麻所持で逮捕された。
まんまとだまされた自治体は大恥をかかされ、町長は「2度と栽培許可の後押しはしない」と怒り心頭だった。医療用大麻以前に、今月14日、茨城県の高校生4人が大麻所持で逮捕された。
「大麻は使用し始めるとより強い刺激を求めるようになるゲートウェイドラッグのひとつ」と前出・高濱氏。
以前、薬物を調達していたという元売人の男性は、
「最初は誰かが持ってくるんだよね、クサ(大麻)とかシンナーとか。そのうちシャブ(覚せい剤)が回ってくるのよ。気がついたらハマっちゃって。でもお金がないから誰かに売るわけさ。そんで自分のクスリ代を浮かせるの。みんな簡単に手を出しちゃう」
と、薬物が、より強い薬物の使用へとつながっていく過程を明かす。大麻取締法の欠点についても指摘する。
「使用じゃ罪にならないっていうのがおかしいよね。使って捕まっても、持っていなければいい。クラブで会った人にさ、使っても捕まらないし、依存性もないから大丈夫、タバコ感覚だよって言われたらやっちゃうでしょ?」