「子どもがどれだけ苦しんでいるのか理解しているのか」
同じ相模原市で'15年9月のある夜、小学4年生(当時)の渡辺春樹くんが自殺を試みようとした。たまたま通りかかった警察官に保護されたのは幸運だったのだが―。
家を飛び出て行く直前、春樹くんは「しにたい」などとメモを書き残す。実はその数日前、日記にこう書いていた。
《何でいじめはなくならないのですか? ぼくをいじめる〇〇に消えてほしいです。みんなが消えないなら、僕がしにたいです》
警察に保護されて8日後、学校側が家庭訪問に訪れた際に、父親の慎也さんは思いの丈をぶつけた。
「1年生のときもいじめを受けていて、当時からの学校対応の悪さを考えれば、怒らない父親はいないと思います。子どもがどれだけ苦しんでいるのか理解しているのか」
保護者も学校も“当事者”のため、中立性のある調査委ができればいいのだが、設置には至っていない。慎也さんはこう語る。
「息子も一歩間違えれば死んでいました。このままでは加害者のほうが天国。市教委では“いじめがあったと認識している”が、調査はしないと言うのです」