仮に三者面談の日に「息子が死にたいと言っている」と相談していたとして、そんな深刻な問題がその日のうちに解決することなどあるだろうか。学校側の言い分は教育者とは思えないほど幼稚で、記憶もあいまいで、つじつまさえ合わない。
男子生徒が先生を頼ろうとしなかったのもうなずける。
第三者委員会の聞き取り前の9月に、校長と担任と学務主任が訪れたとき、母親はこんなお願いをした。
「息子の前ですから、第三者委員会では誠実に対応するよう約束してくださいって話をしたんです。そしたら “はい”って言ったんですよ。それが聞き取りではこうなっている……。学校は誠意を尽くしてほしい。誰がどう読んでも嘘だとわかる内容ですよ」
学校の不誠実な対応はまだ続く。月命日には校長や担任が焼香に訪れるのだが、
「私が“息子はパソコンが好きだった”と話すと、校長が“私もパソコンで馬券を買っています”と言うんです。馬券を買うのは自由だけど、仏前で話すことなのかって。この校長はやっぱりトンチンカンな人なんだなと、ほとほとアキレましたね……」
母親の言葉に怒気が帯びる。
「学校は許せない。なんでこんな人たちが先生でいることができるんだろう。そもそも生徒のSOSも受け取れない人は失格でしょう」
男子生徒が残したメモには、《いじめ←これがいちばんの原いん》と書かれていた。
「どんなに時間がかかってもいいから、真相を明らかにしてほしいんです」
誰が男子生徒を追い詰めたのか。第三者委員会は年内に最終報告書をまとめる。