一方で、SMAPファンを泣かせてみせた。これまでの公演では毎年、SMAPをもネタにしてきた村上。しかし、会場のグローブ座にはジャニーズグループのCDやDVDなどを紹介する展示がなされているのだが、SMAPのものはない。

 やはりジャニーズとしては、すでに“終わったもの”とみなされているのだろう。そんな“最大のタブー”にも切り込んだ。

 村上が“先生”なるキャラに扮装して各グループをイジる、恒例の名物コーナーがある。今回はグループを「花」に例えて、その花言葉をそれぞれ紹介した。

 V6はカトレアで「成熟した大人の魅力」。嵐は桃で「天下無敵」。関ジャニはへちまとパセリで「ひょうきん」「お祭り気分」など、各々にピッタリの花言葉が充てられた。そして最後に、

SMAP兄さん。今年だけやらないわけにはいかないですよね。ちょっと一風変わったお花ですけども、お名前は『シモツケコウホネ』という花になります。

 栃木県のある地域に、一時期だけしか咲かない花なんですけども、SMAP兄さんそのものを表しているということで紹介させていただきたいんです。花言葉とはちょっと違うんですけども、この『シモツケコウホネ』は、正真正銘の『世界に一つだけの花』でございます。おあとがよろしいようで

 拍手喝采に包まれた会場。SMAPを“兄さん”と呼ぶ村上からの、せめてもの贈る言葉だったのだろう。

 ちなみにシモツケコウホネはどんな花なのか。『シモツケコウホネと里を守る会』代表の柴田由子さんに聞くと、

「葉は浮き葉ではなく沈水用として水の中に生え、水面から花と茎だけが顔を出している、水の中でしか生きられない花です。2センチから3センチの小さな可憐な花なんですけども、周りの花びらに見える黄色いものががくで、中に花びらなどがあります。

 本当に“世界で一つだけの花”と呼ばれておりますように、栃木県でもレッドデータブックの最高位の部類に入っております('06年に絶滅危惧IA類に、'12年に国内希少野生動植物に指定された)。

 日光市小代ほか栃木県の4か所で群生しています。6月10日前後から10月半ばまでに咲き、花自体が咲いているのは3、4日間なのですが、次から次へと蕾(つぼみ)をつけていきます。一番の見ごろは7月から9月の半ばになりますね」

 このシモツケコウホネが発見されたのは'03年。偶然にもSMAPの『世界に一つだけの花』がリリースされた年でもある。村上はこのことも知っての紹介だったのか。SMAPファンの“聖地”にもなりそうな予感。

私どもとしましては、1人でも多くの方にシモツケコウホネを知っていただいて、見に来ていただきたいという気持ちでおります」(柴田さん)

 ただシモツケコウホネは購入できないのはもちろん、採取、盗掘は禁止。罰則対象にもなり、「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金」が科せられる。今のSMAP同様に温かく見守ってほしい。