伝聞によるこれらの情報の信憑性は確認できないが、つい2週間前の出来事を70代の女性が証言する。
「女の子が“おばあちゃん助けて”って、うちに飛び込んできたことがありました。なんでも変な人に会ったようで。家の近くまで送り届けましたけど、不気味ですよね」
学校付近には《不審者注意!!すぐに110番》という注意書きのボードが貼られているが、地域の警戒の目を犯人はかいくぐり、彼女を連れ去った。
遺体が発見された翌日、3月27日には、ランドセルが発見された。遺体発見現場から約20キロ離れた、茨城県坂東市の河川敷。
地元のタクシー運転手は、
「よっぽど土地勘がなければ、来られない場所ですよ。ナビもあるけど、車で入れる河川敷かどうかはわからないしね」
車で長い距離を移動すれば、よほど裏道などを知らない限り、監視カメラに映る可能性が高くなる。
お別れ会で父親は……
遺体遺棄現場とランドセルを捨てた現場から、犯人のどのような心理が読み取れるのか。再び前出・出口教授。
「抵抗されて殺害。その後よく知っている場所に遺体を遺棄したという印象を受けます。ランドセルなどを捨てたのは、捜査のかく乱を狙ったのでしょう。(事前の準備は入念だが、その後は)雑で、行き当たりばったりな感じが否めない」
3月31日、雨降る中、リンちゃんのお別れ会が、千葉県松戸市の斎場で営まれ、同級生ら約500人が別れを惜しんだ。
憔悴しきった父親は「リンちゃんのためにありがとうございます」と声を振り絞った。
行方不明になった3月24日は、終業式だった。日本語を覚えながら、小学3年の課程を無事修了し、4月からは4年生に進級する予定だった。小学生が学ぶ「第1外国語」として日本語教育が導入されているベトナム。その国の少女が、日本で命を落とした。新学期を迎える教室に、リンちゃんの姿は……ない。